テキストサイズ

  • テキストサイズ 中
  • テキストサイズ 大

JP

検索

EN

Menu

閉じる

【論文掲載】ウイルスを使わずに、簡単に、安く、効果の高いCAR-T細胞製剤を開発~EPHB4受容体を発現する固形がんに対して強く持続的な抗腫瘍効果を証明~

研究のポイント

  • 遺伝子改変キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)は患者の血液を遺伝子改変して作製される新しいがん免疫療法であり、血液腫瘍、固形腫瘍に対するCAR-T細胞製剤が相次いで開発されています。研究グループは、ウイルスを使わない遺伝子改変技術である「ピギーバックトランスポゾン法」と、本研究で独自に開発した、遺伝子導入されたCAR-T細胞を免疫疲弊を誘導せずに体外で増殖させる「遺伝子改変フィーダー細胞法」を組み合わせ、さまざまなCAR-T細胞を効率よく製造する技術を開発しました。
  • 本開発技術で作製されたCAR-T細胞は、免疫疲弊による治療効果の減弱を起こすことなく、強く持続的な抗腫瘍効果を示し、機能的に優れていることを明らかにしました。
  • また、本開発技術を用いて、世界で初めて、骨軟部腫瘍などの多くのがんに高発現するEPHB4受容体を標的とするCAR-T細胞(EPHB4-CAR-T細胞)を開発し、骨軟部腫瘍、乳がん細胞に対する抗腫瘍効果を証明しました。さらに、がん細胞の増殖に関わるたんぱくの一つであるHER2などを標的とするCAR-T細胞の製造が可能であることも証明し、本開発技術が多種多様なCAR-T細胞の製造に応用可能であることを証明しました。
  • ピギーバックトランスポゾン法によるCAR-T細胞の製造は、従来の技術と比べて、簡便で安価な細胞の製造が可能である上に、固形腫瘍に対しても効果の高い細胞の製造が可能であり、難治性固形腫瘍患者に新たな治療選択肢を提供できることが期待されます。現在、すでにEPHB4-CAR-T細胞を用いた医師主導治験が計画中であり、数年後の臨床応用を目指した開発が継続されています。

研究の概要

 本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業(研究開発課題名:EPHB4 受容体陽性悪性軟部腫瘍を標的とした非ウイルス遺伝子改変キメラ抗原受容体T 細胞療法の非臨床試験、研究代表者名:柳生 茂希)、日本学術振興会科学研究費助成事業ならびに京都発革新的医療技術研究開発助成の支援のもと行われたもので、その研究成果は国際科学雑誌『Molecular Therapy Oncolytics』、『Molecular Therapy-Methods & Clinical Development』にそれぞれ2021年3月4日、2021年3月23日付けで発表されました。

論文情報

タイトル:Development of non-viral, ligand-dependent, EPHB4-specific chimeric antigen receptor T cells for treatment of rhabdomyosarcoma.
著者:Kubo H, Yagyu S, Nakamura K, Yamashima K, Tomida A, Kikuchi K, Iehara T, Nakazawa Y, Hosoi H
雑誌名:Molecular Therapy Oncolytics
 
タイトル:Autologous antigen-presenting cells efficiently expand piggyBac transposon chimeric antigen receptor T cells with predominant memory phenotype.
著者:Nakamura K, Yagyu S, Hirota S, Tomida A, Kondo M, Shigeura T, Hasegawa A, Tanaka M, Nakazawa Y
雑誌名:Molecular Therapy-Methods & Clinical Development
 
リリース資料はこちら

〒602-8566. 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465

お問い合わせ先
TEL:075-251-5111
FAX:075-211-7093