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【論文掲載】経鼻投与可能な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの開発へ

本研究成果のポイント

〇重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV-2)による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、気道感染後に重度呼吸不全を引き起こします。現在承認されているワクチンはすべて筋肉内注射や皮下注射にて投与されます。注射による痛みを伴い、また注射後も筋肉痛や皮膚痛、皮膚発赤など局所の副反応だけでなく、発熱、頭痛、倦怠感などの強い全身性の副反応ももたらします。また注射という処置そのものが、医療機関等での医療従事者による施行が求められます。
〇鼻腔内投与のCOVID-19ワクチンが開発できれば、より少ない副反応で、かつ自己投与が可能となり、また痛みも伴わないために、繰り返してブースター投与することも容易となります。また、鼻腔内投与のワクチンでは、粘膜免疫刺激により呼吸器感染症に対して、より一層に気道の免疫力を強化できることも十分に期待できます。
〇SARS-CoV-2スパイクタンパク質S1と新規開発されたCpGデオキシオリゴヌクレオチド(ODN)アジュバントを組み合わせたワクチンをマウスの鼻腔内または皮下に投与し、皮下投与との免疫誘導効果について比較検討を行いました。その結果、鼻腔内 S1-CpGワクチン投与では、効果的な血清および気管支肺胞洗浄液の中和抗体力価が誘導できました。
〇新規開発のCpG アジュバントを含む S1 タンパク質ワクチンは、経鼻投与が可能な効果的なワクチンとして開発できることが証明されました。
 

研究概要

 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 助教 木下真央,同大学附属病院 病院長 佐和貞治,福岡大学医学部 救命救急医学講座 助教 村西謙太郎,同 教授 石倉宏恭,東京大学医科学研究所 感染・免疫部門 ワクチン科学分野 教授 石井健らの研究グループは,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経鼻投与ワクチン開発に関する研究成果をまとめ,科学雑誌『Vaccines』に(2023年12月20日)付けでオンライン掲載されましたのでお知らせします。
 本研究では,COVID-19を引き起こす病原体であるSARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク抗原S1と自然免疫受容体であるToll様受容体9(TLR9)アゴニストであるCpGデオキシオリゴヌクレオチド(ODN)を用いた新規開発アジュバントの組み合わせによる経鼻投与ワクチンが、COVID-19予防に有効な液性免疫を誘導できることを発見し報告しました。
 

論文情報

雑誌名 Vaccines
 発表媒体 オンライン速報版 
オンライン閲覧 可 https://www.mdpi.com/2076-393X/12/1/5
掲載日 2023年12月20日(日本時間)
論文タイトル(英)
 Antibody response following intranasal administration of SARS-CoV-2 spike protein-CpG oligonucleotide vaccine
代表著者
 福岡大学医学部 救命救急医学講座 村西謙太郎
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 木下真央

共同著者 
 京都府立医科大学附属病院 集中治療部 井上敬太
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 小原潤也
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 三原聡仁
 京都府立医科大学附属病院 集中治療部 須藤和樹
 東京大学医科学研究所 感染・免疫部門 ワクチン科学分野 石井健
 京都府立医科大学附属病院 佐和貞治
 福岡大学医学部 救命救急医学講座 石倉宏恭
 京都府立医科大学附属病院 集中治療部 井上敬太
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 小原潤也
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 三原聡仁
 京都府立医科大学附属病院 集中治療部 須藤和樹
 東京大学医科学研究所 感染・免疫部門 ワクチン科学分野 石井健
 京都府立医科大学附属病院 佐和貞治
 福岡大学医学部 救命救急医学講座 石倉宏恭
プレスリリース資料はこちら

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