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【論文掲載】KRAS-G12C遺伝子異常肺がんの新たな「初期治療抵抗性」メカニズムが明らかに~AXL阻害薬とKRAS-G12C阻害薬の併用が初期治療抵抗性を克服する~

本研究成果のポイント

〇KRAS-G12C遺伝子異常肺がんに対し、KRAS-G12C阻害薬を投与すると、がん細胞の一部が抵抗して生存する「初期治療抵抗性」が問題となっています。
〇本研究では、AXLタンパクが高発現したKRAS-G12C遺伝子異常肺がんに、初期治療としてKRAS-G12C阻害薬のみを投与すると、「初期治療抵抗性」により、AXLシグナルが活性化され、治療抵抗性細胞として生存することを初めて明らかにしました。
 さらに、初期治療からKRAS-G12C阻害薬に加え、AXL阻害薬を併用すると「初期治療抵抗性」を克服し、再発までの期間を大幅に延長することができることを初めて示しました。
〇本研究成果は、がんの中で最も頻繁に認められている遺伝子異常の一つであるKRAS-G12C遺伝子異常のある肺がんの治療成績を向上させ、「肺がんの個別化医療」の推進に大きく貢献することが期待されます。
 

研究概要

 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 准教授 山田忠明、同 教授 髙山浩一らの研究グループは、KRAS-G12C遺伝子異常のある肺がん細胞においてKRAS-G12C阻害薬が投与された腫瘍細胞の一部が抵抗して生存する、新たなメカニズムを解明しました。本件に関する論文が、科学雑誌『Cancer Letters』に2024年2月9日付け(日本時間)で掲載されましたのでお知らせします。
 本研究は、KRAS-G12C阻害薬が投与され、AXLタンパクが高発現したKRAS-G12C遺伝子異常の肺がん細胞がAXLシグナルを活性することにより、治療抵抗性細胞として生存することを初めて報告しました。

 本研究成果をもとに、KRAS-G12C遺伝子異常のある肺がんの個別化医療が推進され、治療成績の向上に貢献することが期待されます。
 

論文情報

雑誌名 Cancer Letters
 発表媒体 オンライン速報版 
オンライン閲覧 可 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304383524000855
掲載日 2024年2月9日(日本時間)
論文タイトル(英・日)
 AXL signal mediates adaptive resistance to KRAS G12C inhibitors in KRAS G12C-mutant tumor cells (AXL シグナルは、KRAS-G12C変異非小細胞肺がんにおけるKRAS-G12C阻害薬に対する治療抵抗性を媒介する)
代表著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 山田忠明

共同著者 
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 森本健司
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 平井聡一
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 片山勇輝
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 福井紗理奈
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 澤田 凌
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 立花佑介
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 松井遥平
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 中邨亮太
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 石田真樹
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 河内勇人
 大阪国際がんセンター 呼吸器内科 國政 啓
 旭川医科大学病院 呼吸器内科 佐々木高明
 聖マリアンナ医科大学病院 呼吸器内科 西田 誠
 聖マリアンナ医科大学病院 呼吸器内科 古屋直樹
 新潟大学医歯学総合病院 呼吸器内科 渡部 聡
 京都第一赤十字病院 呼吸器内科 塩津伸介
 市立福知山市民病院 呼吸器内科 西岡直哉
 京都府立医科大学 創薬センター 堀中真野
 京都府立医科大学 創薬センター 酒井敏行
 徳島大学病院 病理部 上原久典
 金沢大学がん進展制御研究所腫瘍内科 矢野聖二
 東京大学  高齢社会総合研究機構 孫 輔卿
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 徳田深作
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 髙山浩一

 
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