京都府立医科大学：【論文掲載】プロトンポンプ阻害薬の内服歴が一部の進行期非小細胞肺がん治療の効果予測に有用である可能性～ペムブロリズマブ単剤療法および複合免疫療法の効果におけるプロトンポンプ阻害薬の内服歴の意義を調査した論文掲載について～

本研究成果のポイント

○胃潰瘍や、逆流性食道炎に対する治療、予防薬として使用されるプロトンポンプ阻害薬(以下、「PPI」という。)の内服歴が、PD-L1高発現を有する非小細胞肺がんの免疫療法の治療効果に影響を与える可能性が示されました。○PPIの内服歴があるPD-L1高発現非小細胞肺がんでは、複合免疫療法の効果はペムブロリズマブ単剤療法と比べて良好でした。一方、PPIの内服歴がない群では両者に明らかな差は認められませんでした。
○本研究の結果をうけ、PPIの内服歴がある患者さんについては、免疫チェックポイント阻害薬単剤療法の効果を高める新たな治療法の開発が望まれます。

研究概要

　京都府立医科大学大学院医学研究科　呼吸器内科学　大学院生　河内勇人、同　准教授　山田忠明、同　教授　髙山浩一らの研究グループは、PD-L1高発現を有する進行期非小細胞肺がん患者に対するペムブロリズマブ単剤療法および複合免疫療法の治療効果にプロトンポンプ阻害薬の内服歴が及ぼす影響について調査を行い、本件に関する論文が、科学雑誌『JAMA Network Open』に2023年7月11日付けで掲載されましたのでお知らせします。
　本研究では、PPIの内服歴の有無により、PD-L1高発現非小細胞肺がんに対するペムブロリズマブ単剤療法と複合免疫療法の治療効果を調査したところ、PPIの内服歴がある患者では複合免疫療法の治療効果がペムブロリズマブ単剤療法と比べて良好である一方、PPIの内服歴がない患者では両者に明らかな差は認められないことが明らかになりました。本研究の結果は、PPIの内服歴が、肺がん患者さんの適切な治療法の選択に寄与する可能性があることを明らかにしました。これらの成果は、肺がんの個別化治療の促進に貢献することが期待されます。

論文情報

雑誌名　JAMA Network Open
発表媒体　オンライン速報版　
雑誌の発行元国　米国
オンライン閲覧　可　https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2807132
掲載日　2023年7月11日(日本時間)
論文タイトル（英・日）
　Concomitant Proton Pump Inhibitor Use With Pembrolizumab Monotherapy vs Immune Checkpoint Inhibitor Plus Chemotherapy in Patients With Non-Small Cell Lung Cancer
(PD-L1高発現非小細胞肺がん患者におけるペムブロリズマブ単剤療法および複合免疫療法の治療効果にプロトンポンプ阻害薬が与える影響)

代表著者
京都府立医科大学大学院　医学研究科　呼吸器内科学　河内勇人
京都府立医科大学大学院　医学研究科　呼吸器内科学　山田忠明

共同著者　
大阪国際がんセンター　呼吸器内科　田宮基裕
兵庫医科大学　呼吸器・血液内科学　祢木芳樹
　藤田医科大学　呼吸器内科学講座　後藤康洋
　福岡大学　呼吸器内科　中尾　明
　京都第一赤十字病院　呼吸器内科　塩津伸介
　京都第二赤十字病院　呼吸器内科　谷村恵子
　京都第二赤十字病院呼吸器内科　竹田隆之
　済生会吹田病院　呼吸器内科　岡田あすか
　福知山市民病院　呼吸器内科　原田大司
　中部総合医療センター　呼吸器内科　伊達紘二
　宇治徳洲会病院　呼吸器内科　千原佑介
　済生会滋賀県病院　呼吸器内科　長谷川功
　洛和会音羽病院　呼吸器内科　田宮暢代
　京都府立医科大学大学院　医学研究科　呼吸器内科学　石田真樹
　京都府立医科大学大学院　医学研究科　呼吸器内科学　片山勇樹
　京都府立医科大学大学院　医学研究科　呼吸器内科学　森本健司
　京都府立医科大学大学院　医学研究科　呼吸器内科学　岩破將博
　京都府立医科大学大学院　医学研究科　呼吸器内科学　徳田深作
　兵庫医科大学　呼吸器・血液内科学　木島貴志
　京都府立医科大学大学院　医学研究科　呼吸器内科学　髙山浩一

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