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【論文掲載】タンパク質自身にくすりを作らせる革新的手法を開発ー短時間で新規うつ病治療薬候補化合物の選定に成功ー

 大阪大学産業科学研究所の鈴木孝禎教授、京都府立医科大学大学院医学研究科の伊藤幸裕准教授、京都大学大学院医学研究科の内田周作特定准教授らの研究グループは、がんや神経精神疾患の原因である金属含有タンパク質自身に医薬品候補化合物を合成させる方法を世界で初めて開発しました。

研究成果のポイント

  • 疾患治療薬の早期創出につながる新しい創薬手法を開発した。
  • 本創薬手法は、病気の原因となるタンパク質自身にくすりをつくらせる方法で、これを利用することで、迅速かつ効率的にうつ病治療薬候補化合物を見出すことに成功した。
  • 今日の創薬研究では、化学者が化合物を一つ一つ合成し、活性を測定するという作業を行っているため、多くの時間と労力が必要とされているが、本創薬手法を用いることで、短期間かつ少ない労力で、画期的新薬を創出できると期待される。
 
 今日の創薬研究では、化学者の手で化合物を一つ一つ合成し、活性を測定するという作業を行っているため、創薬には多くの時間と労力が必要とされています。そのため、短時間かつ少ない労力で医薬品候補化合物を創出する新たな創薬手法が望まれています。
 今回、鈴木孝禎教授らのグループは、がんや神経精神疾患の原因である金属含有タンパク質に着目し、つぎの(1)~(4)のステップにより、効率的に医薬品候補化合物が見出せることを示しました(図1)。
 本手法を用いることで、複数のアルキン化合物(m個)とアジド化合物(n個)の組み合わせ(m×n個)を短時間で評価することが可能です。そのため、化学者がm×n個の化合物を一つ一つ合成する必要がなく、効率的に医薬品候補化合物を探索することができます。実際に、鈴木教授らは、化合物を一つ一つ合成する従来の方法では6カ月以上かかるところを、本手法を用いることで、わずか2日で、うつ病治療薬候補化合物を見出すことに成功しました(特許出願済:特願2019-106166)。本創薬手法を用いることで、短時間かつ少ない労力で、画期的新薬を創出できると期待されます。

論文基礎情報

雑誌名:米国科学雑誌 ACS Catalysis(現地時間:2020年4月23日掲載)
論文名:Metalloprotein-Catalyzed Click Reaction for In Situ Generation of a Potent Inhibitor
著者名:大阪大学産業科学研究所 鈴木孝禎教授
    京都府立医科大学大学院医学研究科 伊藤幸裕准教授
    京都大学大学院医学研究科 内田周作特定准教授 ほか
 
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