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【論文掲載】新型コロナウイルス感染症の新しい重篤化機序を解明

本研究成果のポイント

○新型コロナウイルスは、一般的な風邪コロナウイルスと異なり、自然免疫応答を刺激する異常なゲノムRNA断片を過剰に産生していました。
○新型コロナウイルスでは、感染後期にウイルスRNA断片が感染細胞内に蓄積することで、一転して強いインターフェロン応答(注1)が誘導されていました。
○ウイルスRNA断片の蓄積を介したインターフェロン産生は、新型コロナウイルス感染症に特徴的なサイトカインストーム(注2)と付随する感染後期の病態悪化に関連する可能性があります。
○新型コロナウイルス変異株間ではウイルスRNA断片産生量が異なり、各変異株が引き起こす症状の重症度の相違に関係する可能性が示唆されました。
 

研究概要

 京都府立医科大学大学院医学研究科感染病態学 渡邊洋平 講師、京都府立医科大学 荒井泰葉 博士研究員、同 磯邉綾菜 学部生(令和4年3月卒業)、大阪大学微生物病研究所遺伝情報実験センター 山中 到 技術補佐員、高等共創研究院 岡本 徹 教授(感染症総合教育拠点兼任)らの研究グループは、新型コロナウイルスが感染細胞において異常なウイルスRNAを蓄積することで、免疫応答を過剰に惹起することを発見しました。
 新型コロナウイルスが合成するウイルスRNAはゲノム5’末端の短鎖断片であり、自然免疫シグナルを活性化するRIG-I(注3)を刺激することで、インターフェロンを過剰産生させること見出しました。コロナウイルス科(注4)のウイルスは、自然免疫応答を抑制する免疫回避機構を有していますが、新型コロナウイルスでは、短鎖RNAの異常な蓄積による免疫誘導シグナルが免疫抑制シグナルを上回ることで、感染後期にインターフェロン応答が一転して惹起される特徴があることが分かりました。本件に関する論文が、米国科学雑誌『iScience』に2022年12月7日(日本時間)付けで掲載されましたのでお知らせします。

論文情報

雑誌名 iScience(科学雑誌) 
発表媒体 オンライン版
オンライン閲覧 可
URL https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(22)02015-6
掲載日 2022年12月7日(日本時間)
論文タイトル Stimulation of IFN- responses by aberrant SARS-COV-2 small viral rRNAs acting as RIG-I agonists
〔日本語:新型コロナウイルスが産生する異常な短鎖ウイルスRNAはRIG-Iアゴニストとして作用することでIFN-b応答を刺激する〕
代表著者
 京都府立医科大学 大学院医学研究科 感染病態学 渡邊洋平
共同著者
 京都府立医科大学 感染病態学 荒井泰葉
 大阪大学 微生物病研究所 遺伝情報実験センター 山中 到
 大阪大学 微生物病研究所 高等共創研究院 岡本 徹(感染症総合教育拠点兼任)
 京都府立医科大学 磯邉綾菜(令和4年3月卒業)
 大阪大学 微生物病研究所 遺伝情報実験センター 中井尚美
 大阪大学 微生物病研究所 遺伝情報実験センター 神村直子
 大阪大学 微生物病研究所 高等共創研究院 鈴木達也
 京都府立医科大学 大学院医学研究科 感染病態学 大道寺智
 大阪大学 産業科学研究所 小野尭生
 京都府立医科大学 大学院医学研究科 感染病態学 中屋隆明
 大阪大学 産業科学研究所 松本和彦
 大阪大学 微生物病研究所 遺伝情報実験センター 奥崎大介(免疫フロンティア研究センター兼任)
 
プレスリリース資料はこちら 
 

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