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【論文掲載】遺伝性神経筋疾患“ジストロフィン異常症”の分子病態の一端を解明~ジストログリカンによるDp71プロテオスタシス制御機構の重要性~

京都府立医科大学大学院医学研究科 分子病態病理学教室 講師 藤本崇宏、教授 伊東恭子らの研究グループは、これまで明らかになっていなかった遺伝性神経筋疾患“ジストロフィン異常症”の発生メカニズムについて、ジストロフィンとジストログリカンとの結合異常が原因となって、ジストロフィン遺伝子産物Dp71の正常な蛋白の恒常性(プロテオスタシス)に異常をきたすことを解明し、本件に関する論文が、科学雑誌『Human Molecular Genetics』に2020年9月30日付(英国時間)で掲載されましたのでお知らせします。
 

本研究成果のポイント

・X染色体劣性遺伝で起こる神経・筋疾患である遺伝性神経筋疾患“ジストロフィン異常症”(筋ジストロフィーの代表的疾患)において、ジストロフィン(Dp)※1とジストログリカン(DG)※2の結合異常により、細胞質および核内への異所的局在化や低リン酸化状態※3を呈するなどDpプロテオスタシスの異常が起こることを明らかにした。
・将来的なジストロフィン異常症の病態解明や分子標的法の開発研究に進展していくことが期待
用語の説明
・※1ジストロフィン(Dp):筋細胞の構造を保つ役割を担う蛋白質。骨格筋のほか、心筋・平滑筋・神経細胞にも存在する。ジストロフィンを生成する遺伝子はX染色体上にあり、その異常によってデュシェンヌ型筋ジストロフィーやベッカー型筋ジストロフィーが発症する。
・※2ジストログリカン(DG):骨格筋・上皮・神経などの細胞膜に存在し、細胞内骨格と細胞外基質をつなぐ役割を果たす細胞膜受容体。
・※3低リン酸化状態:蛋白質はさまざまな翻訳後修飾をうけることで、蛋白質の活性や安定性などが調節される。セリン・スレオニン・チロシン残基の側鎖に存在する水酸基において起こるリン酸化は翻訳後修飾の一つであり、リン酸化酵素(キナーゼ)や脱リン酸化酵素(ホスファターゼ)によってリン酸基の付加や除去が調節される。低リン酸化状態とは、蛋白質のリン酸化修飾の度合いが低下した状態。
 

論文基礎情報

タイトル:Dystroglycan regulates proper expression, submembranous localization and subsequent phosphorylation of Dp71 through physical interaction.
     (ジストログリカンはDp71蛋白の安定化、膜局在化、リン酸化を制御する) 
掲載誌:Human Molecular Genetics
オンライン閲覧:可(URL)https://academic.oup.com/hmg/article/29/19/3312/5913244
論文掲載日:(オンラインの掲載日)2020年9月30日 (ペーパの発行)2020年10月1日
筆頭著者:京都府立医科大学大学院医学研究科 分子病態病理学 藤本崇宏
共同著者:京都府立医科大学大学院医学研究科 分子病態病理学 矢追毅
     立命館大学生命科学部 薬理学研究室 田中秀和
代表著者:京都府立医科大学大学院医学研究科 分子病態病理学 伊東恭子
研究情報:資金的関与(獲得資金等)日本学術振興会 科研費 
     基盤研究(C) 18K07883(藤本崇宏)
 
プレスリリース資料は こちら
 

 

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