京都府立医科大学：【論文掲載】COVID-19急性呼吸不全患者における重症化病態の解明への新手法「気管支マイクロサンプリング法」で肺内炎症サイトカインを分析！

本研究成果のポイント

〇これまでの重症肺炎の研究では、血液を調べることで免疫機能への影響が考察されてきましたが、肺の炎症が激しい新型コロナウイルス感染症（COVID-19）患者の免疫反応については、血液を調べるだけでは不十分です。最近の研究では、COVID-19患者の肺には特有の免疫反応があり、その影響が治療の効果にも大きい影響があることが示唆されています。これまでの重症肺炎の研究では，血液を調べることで免疫機能への影響が考察されてきましたが，肺の炎症が激しい新型コロナウイルス感染症（COVID-19）患者の免疫反応については、血液を調べるだけでは不十分です。最近の研究では、COVID-19患者の肺には特有の免疫反応があり、その影響が治療の効果にも大きい影響があることが示唆されています。

○本研究では、人工呼吸器療法が必要であった27人のCOVID-19患者において、肺の気管支上皮細胞上の被覆液（気管支上皮被覆液ELF）を世界で初めて気管支マイクロサンプリング法で採取し、肺内炎症サイトカイン濃度を定量し、胸部CT画像で認められる肺傷害の程度との関連を明らかにしました。

○その結果、重症呼吸不全や健康状態が悪化の患者の急性肺傷害の複雑な病理を理解する上で、肺特有の炎症についての重要な洞察を提供できることを示しました。

研究概要

　京都府立医科大学大学院医学研究科　麻酔科学（京都府立医科大学附属病院集中治療部）助教　須藤和樹、京都府立医科大学附属病院　病院長　佐和貞治、同大学大学院医学研究科　分子病態感染制御・検査医学　病院教授　稲葉　亨、同大学大学院医学研究科　ゲノム医科学　教授　田代　啓、同大学大学院医学研究科　救急・災害医療システム学　教授　太田　凡らの研究グループによる、COVID-19急性呼吸不全患者における肺内炎症性サイトカイン解析に関する研究成果が科学雑誌『Critical Care』に（2024年4月23日）付けでオンライン掲載(doi: 10.1186/s13054-024-04921-3)されましたのでお知らせします．

　本研究では、重症COVID-19急性呼吸不全患者における気管支上皮被覆液に含まれる炎症性サイトカインを世界で初めて気管支マイクロサンプリング法で詳しく分析しました。その結果、肺内の炎症性サイトカインの量が異常に増加し、かつ高度に肺内に区画化されていることが解明されました。この研究から、重症COVID-19肺傷害への理解がより深まり、治療的介入に関しても新たな観点が必要であることを報告しました。

論文情報

雑誌名　Critical Care
発表媒体　オンライン速報版
雑誌の発行元国　欧州連合
オンライン閲覧　可　https://ccforum.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13054-024-04921-3
掲載日　2024年４月23日(日本時間)
論文タイトル（英）
　Case study observational research: Inflammatory cytokines in the bronchial epithelial lining fluid of COVID-19 patients with acute hypoxemic respiratory failure

代表著者
　京都府立医科大学附属病院　佐和貞治

共同著者　
　京都府立医科大学大学院医学研究科　麻酔科学（京都府立医科大学附属病院　集中治療部）　須藤和樹

　京都府立医科大学大学院医学研究科　麻酔科学　木下真央

京都府立医科大学大学院医学研究科　麻酔科学　川口顕
京都府立医科大学大学院医学研究科　麻酔科学　串本洸輔
京都府立医科大学附属病院　集中治療部　井上敬太
京都府立医科大学附属病院　集中治療部　吉井龍吾
京都第一赤十字病院　集中治療部　山﨑正記
京都府立医科大学大学院医学研究科　救急・災害医療システム学　松山　匡
京都府立医科大学附属病院　集中治療部　小尾口邦彦
京都府立医科大学大学院医学研究科　ゲノム医科学　高島康郎
京都府立医科大学大学院医学研究科　ゲノム医科学　田中雅深
京都府立医科大学附属病院　臨床検査部　松本和道
京都府立医科大学大学院医学研究科　ゲノム医科学　田代　啓
京都府立医科大学大学院医学研究科　分子病態感染制御・検査医学　稲葉　亨
京都府立医科大学大学院医学研究科　救急・災害医療システム学　太田　凡

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