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家族性大腸腺腫症患者の治療選択拡大に期待~がん高危険度群に対する初のがん予防薬実用化を目指して~

 
【発表のポイント】
  1. 家族性大腸腺腫症(FAP)患者(※1)において8ヶ月間、1日100 mgの低用量アスピリン服用によりポリープの増大を有意に抑制することを明らかにしました。
  2. 大腸がんは左側大腸に多く発生する事が明らかとなっていますが、アスピリンが左側大腸においてより強いポリープ増大抑制効果を示すことが明らかとなりました。
  3. 成人で大腸が保存されているFAP患者対象の試験としては世界最大の試験成果であり、従来大腸全摘出術が標準治療とされていたFAP患者にとって新たな治療法の選択肢となることが期待されます。

 

研究概要

 京都府立医科大学大学院 医学研究科 分子標的予防医学 石川秀樹特任教授と同武藤 倫弘教授らからなる研究グループは、家族性大腸腺腫症(FAP)患者において低用量アスピリン(※2)がポリープの再発を有意に抑制することを解明し、その報告となる論文が、『THE LANCET Gastroenterology & Hepatology』にグリニッジ標準時2021年4月1日(日本時間4月2日)付けで掲載されましたのでお知らせします。
 本研究は、がんの危険疾患であるFAPの患者の視点に立ってより良い治療法を開発しようと実施された第3次対がん総合戦略研究事業(厚生労働省)における研究を起点に、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)設立とともに移管された後も引き続き行われてきました。今回、これらの試験結果について公表できる準備が整いました。
 本研究成果をもとに、今後はFAP患者の治療選択肢が増え、これまでの予防的な措置として行われてきた大腸全摘出術に加え、低用量アスピリンを服用することで大腸がんの発生を予防/遅延するという「がん予防」を志向した手法が加わることが期待されます。

論文概要

・論文タイトル(英・日)Chemoprevention with low-dose aspirin, mesalazine, or both in patients with familial adenomatous polyposis without previous colectomy (J-FAPP Study IV): a multicentre, double-blind, randomised, two-by-two factorial design trial・大腸摘出術がまだ施行されていない家族性大腸腺腫症患者に対するアスピリンやメサラジンを用いた化学予防 (J-FAPP Study IV):2x2 ファクトリアルデザインによる多施設二重盲検ランダム化試験
・雑誌名:THE LANCET Gastroenterology & Hepatology
・オンライン閲覧  可(URL)
・筆頭著者 京都府立医科大学・石川秀樹
・代表著者 京都府立医科大学・武藤倫弘
 
プレスリリース資料はこちら

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