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【論文掲載】多発性骨髄腫の高度悪性形質獲得における有糸分裂チェックポイント分子BUB1過剰発現の関与を解明

 京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 教授 黒田純也、分子診断治療センター 特任教授 谷脇雅史の研究グループは、多発性骨髄腫において、有糸分裂*チェックポイント分子であるBUB1の過剰発現が腫瘍細胞の染色体不安定性を亢進し、難治病態形成を促進していることを解明しました。本件に関する論文が、科学雑誌『Cancers』に(2020年8月6日)付けで掲載されましたのでお知らせします。
 本研究では、難治性の血液腫瘍である多発性骨髄腫において、再発・難治状態へと病状が進行するのに伴って、腫瘍細胞において有糸分裂チェックポイント制御分子であるBUB1の発現が亢進すること、BUB1過剰発現によって細胞分裂に際する染色体分配異常が増加し、新たに付加的な染色体異常を有する腫瘍細胞が増加すること、逆にBUB1発現の抑制によって、こうした現象がキャンセルされることを見出しました。本研究の成果は、多発性骨髄腫において染色体不安定性を有したクローンの発生と拡大を促進する分子メカニズムに迫ることで、病態悪化と治療抵抗性獲得の根幹となる多段階進展のプロセスの一端を明らかにするものであり、病態悪化や治療抵抗性を克服出来る治療法の開発が期待されます。
*「有糸分裂(ゆうしぶんれつ)」とは、真核細胞の細胞分裂期における核の基本的な分裂形式であり、複製された染色体が紡錘体によって娘細胞に分配するメカニズムのこと。
 

研究のポイント

・難治性の血液腫瘍である多発性骨髄腫において、BUB1過剰発現を介した染色体不安定性亢進による二次性・付加的染色体異常を獲得するメカニズムを解明
・多発性骨髄腫の病態悪化・治療抵抗性を促進するクローン性進化のメカニズムの一端が解明されたことで、今後、その克服を実現する治療法の開発が期待
 

発表基礎情報

雑誌名:Cancers
https://doi.org/10.3390/cancers12082206

論文タイトル:
Aberrant BUB1 overexpression promotes mitotic segregation errors and chromosomal instability in multiple myeloma
(和訳:多発性骨髄腫においてBUB1過剰発現は有糸分裂における染色体分離エラー、ならびに染色体不安定性を促進する)

代表著者:
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 藤林悠人
 
共同著者:
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 黒田純也
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 伊佐怜子
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 西山大地
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 稲田(坂元)奈津美
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 川住憲史
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 山口順子
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 太田(桑原)沙絵子
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 木元(松村)弥生
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 塚本 拓
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 知念良顕
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 志村勇司
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 古林 勉
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 堀池重夫
京都府立医科大学 分子診断治療センター 谷脇雅史
群馬大学大学院医学研究科 血液内科学 半田 寛
 

研究情報

研究課題名
「造血器悪性腫瘍におけるクローン性進化の分子メカニズムの解明と克服戦略の開発」
代表研究者 所属・氏名 
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 黒田純也
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 古林 勉
資金的関与(獲得資金等)
文部科学省科学研究費助成事業
日本医療研究開発機構革新的がん医療実用化研究事業
国立がん研究センター研究開発費
 
プレスリリース資料は こちら

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