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【論文掲載】モード分解法による全身麻酔中の脳波解析: 超パラメータ決定に灰色オオカミ最適化アルゴリズムを適応

本研究成果のポイント

〇全身麻酔中の脳波(EEG)解析は,麻酔深度を測定する技術開発に利用されています.
  変分モード分解法(Variational Mode Decomposition, VMD)は,数学的最適化手法を用いて,脳波信号を狭帯域の自然数固有モード関数に分解することを可能にします.しかし,この分析には事前に超パラメータ,すなわち分解数(K)と罰則因子(PF)を決定する必要があります.
〇灰色オオカミ最適化アルゴリズム(Grey Wolf Optimizer, GWO)は,最近の生物にヒントを得た最適化アルゴリズムの1つで,灰色オオカミの群れのシミュレートされた狩猟に基づきます.平均して,このアルゴリズムは,極値を見つける精度と収束速度の両方の点で,さまざまなタイプの関数で非常に効率的であることが証明されています.
〇今回,非介入的かつ非侵襲的な後ろ向き観察研究から得られた全身麻酔中EEGのVMD分析において,VMDの超パラメータKとPFを決定するためにGWOを適応させました.
〇最適化の指標として,VMD法によって分解された固有モード関数(Intrinsic Mode Function,IMF)の包絡線関数を計算し,その包絡線エントロピーを適応度関数として使用しました.K値とPF値はエポック毎に変動しましたが,GWOアルゴリズムの初期段階で適応度値は収束を示しました.K値は2にされ,全身麻酔の維持期に観察されるアルファ波の増強を捉えることができるようにしました.本研究は,GWOを使用してVMDの超パラメータの最適化を探求することで,全身麻酔の影響に関連するEEG周波数特性を調査するための堅牢な分析モデルを構築することができることを示唆しています.

研究概要

 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 病院助教 串本洸輔,同 助教 山田知見,同 助教 木下真央,同大学附属病院 病院長 佐和貞治,同大学院医学研究科 客員講師 小畑友里江,近畿大学医学部 麻酔科学講座 講師 秋山浩一らの研究グループは,英文学術誌『Sensors』に(2024年9月4日)付けでオンライン掲載されましたのでお知らせします.
 本論文では,2023年に京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 助教 山田知見らが論文報告(Yamada T, et al. Changes in EEG frequency characteristics during sevoflurane general anesthesia: feature extraction by variational mode decomposition, Clin Monit Comput 2023;37(5):1179-1192.)した変分モード分解法(以下、「VMD」という.)を用いた全身麻酔中の脳波解析による麻酔深度の定量化に関する研究成果の続報として,VMDの超パラメータ,すなわち分解数(以下、「K」という.)及び罰則因子(以下、「PF」という.)について,灰色オオカミ最適化アルゴリズム(Grey Wolf Optimizer, GWO)を用いて最適化を測りました.

論文情報

雑誌名 Sensors
発表媒体 オンライン速報版
雑誌の発行元国 スイス
オンライン閲覧 可 https://www.mdpi.com/1424-8220/24/17/5749
掲載日 2024年9月4日(日本時間)
論文タイトル(英)
 Variational Mode Decomposition Analysis of Electroencephalograms during General Anesthesia: Using the Grey Wolf Optimizer to Determine Hyperparameters
代表著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 串本洸輔
共同著者 
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 山田知見
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 木下真央
 京都府立医科大学附属病院 佐和貞治
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 小畑友里江
 近畿大学医学部 麻酔科学講座 秋山浩一
 
プレスリリース資料はこちら

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