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【論文掲載】CAR-T 細胞の安全性を評価する霊⻑類モデルを開発~カニクイザルモデルを用いた安全性評価法~

 信州⼤学学術研究院医学系の中沢洋三教授、京都府⽴医科⼤学⼤学院医学研究科の柳⽣茂希講師(学内)、株式会社イナリサーチの下井昭仁上席執⾏役員らの研究グループは、国⽴研究開発法⼈⽇本医療研究開発機構(AMED)再⽣医療・遺伝⼦治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(遺伝⼦治療製造技術開発)の⽀援のもと、2019 年10 ⽉に再⽣医療等製品の開発に特化したオープンラボを有する⾮臨床試験施設『信州⼤学遺伝⼦・細胞治療研究開発センター(CARS)イナリサーチラボ』を開設し、霊⻑類モデルを⽤いた⾮臨床安全性試験⽅法の開発に取り組んできました。このたび、遺伝⼦改変キメラ抗原受容体T 細胞(CAR-T 細胞)療法の安全性を評価するための霊⻑類モデルを開発し、その有⽤性を国際科学雑誌『Clinical & Translational Immunology』に学術論⽂として2021 年6 ⽉4⽇に発表されます。

研究のポイント

  • 遺伝⼦改変キメラ抗原受容体T 細胞(CAR-T 細胞)は、がん細胞のみが発現するたんぱく質を標的として抗腫瘍効果を発揮することから、がん免疫療法に⽤いられます。⾎液腫瘍、固形腫瘍に対して数多くのCAR-T 細胞の開発が⾏われていますが、⼀部を除き実⽤化には⾄っていません。正常組織に対する毒性(Offtumor 毒性注1)を評価する⽅法が定まっていないことが、実⽤化の遅れの要因の1つとなっています。
  •  研究グループは、進化的にヒトとの相同性が極めて⾼いカニクイザルをモデルとして、CAR-T 細胞のOff tumor 毒性を評価する⽅法を開発しました。
  • カニクイザルに免疫抑制剤をあらかじめ投与することで、数⽇から1 週間程度は移植したヒト由来CAR-T 細胞が拒絶されないモデルを開発しました。このモデルを⽤いて、ピギーバックトランスポゾン法注2 で作製されたヒト末梢⾎単核球由来EPHB4 受容体注3 特異的CAR-T 細胞(EPHB4-CAR-T 細胞)の急性期におけるOff tumor 毒性を評価し、CAR-T 細胞投与後1 週間までに⽣じやすい正常臓器に対するOff tumor 毒性が観察されないことを確認しました。
  • 本開発技術は、CAR-T 細胞開発の障壁となるOff tumor 毒性を事前に評価しるモデルとなることから、本開発技術を⽤いた⾮臨床安全性試験基盤を構築することで、CAR-T 細胞療法の実⽤化が推進することが期待されます。

論文概要

タイトル:Lymphodepleted non-human primate model for the assessment of acute ontarget and off-tumor toxicity of human CAR-T cells.
著者:
Yagyu S, Mochizuki H, Yamashima K, Kubo H, Saito S, Tanaka M, Sakamoto K,Shimoi A, Nakazawa Y
雑誌名:
Clinical & Translational Immunology
オンライン掲載:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/cti2.1291
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