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【論文掲載】多剤耐性緑膿菌感染への抗生物質に頼らない新規治療法「特異抗体&バクテリオファージ併用療法」の開発

本研究成果のポイント

〇緑膿菌は医療関連感染(院内感染)として,免疫力の低下した患者に肺炎を引き起こします.緑膿菌の多くが一般的な抗生物質(βラクタム剤,アミノグリコシド剤,フルオロキノロン剤など)の複数の抗生物質に耐性を示し,これらの抗生物質に頼らない治療法の開発が望まれています.
  緑膿菌特異抗体(PcrV抗体)は,緑膿菌の毒性を速攻に抑制できますが,殺菌作用はありません.一方で,緑膿菌に特異的なバクテリオファージは溶菌作用を持ちますが,即効性がありません.両者を組み合わせることで,それぞれの欠点を補うことができ,効果的な治療に繋げられる可能性があります.
〇本研究では,マウス肺炎モデルを用いた実験では,緑膿菌による肺炎の治療において,緑膿菌に対する特異抗体とバクテリオファージの併用が従来の抗生物質単独療法よりも高い治療効果を示しました生存率の向上や感染部位の細菌負荷の減少が観察されました.
〇この併用療法は,従来の抗生物質と比較して副作用が少ないとされています.特に,腎臓や肝臓への影響が少ないことが示されており,長期間の治療に適している可能性があります.他の多剤耐性を示す細菌感染症に対しても同様のアプローチが有効である可能性が示されました.
 

研究概要

 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 助教 木下真央,同大学附属病院 病院長 佐和貞治,酪農学園大学 獣医学研究科 獣医学専攻 講師 藤木純平,同大学 学長 岩野英知らの共同研究グループは,緑膿菌性肺炎に対する特異抗体・バクテリオファージ併用療法に関する研究成果をまとめ,米国微生物学会(American Society for Microbiology)の学術誌『Microbiology Spectrum』に(2024年10月24日)付けでオンライン掲載されましたのでお知らせします.
 本研究では,著者等の研究グループがこれまで開発に関わってきた抗緑膿菌抗体療法に新たにバクテリオファージ療法を組み合わせることで,従来の抗生物質に頼らない多剤耐性緑膿菌感染症に対する強力な新規治療法の開発に繋がる成果をあげることができました.

論文情報

雑誌名 Microbiology Spectrum
発表媒体 オンライン速報版
雑誌の発行元国 アメリカ合衆国
オンライン閲覧 可 https://journals.asm.org/doi/epub/10.1128/spectrum.01781-24
掲載日 2024年10月24日(日本時間)
論文タイトル(英)
 Effects of the combination of anti-PcrV antibody and bacteriophage therapy in a mouse model of Pseudomonas aeruginosa pneumonia
代表著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 木下真央
共同著者 
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 小原潤也
 酪農学園大学大学院 獣医学研究科 獣医学専攻 藤木純平
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 須藤和樹
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 川口 顕
 京都府立医科大学附属病院 集中治療部 井上敬太
 京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学 内藤慶史
 杏林大学医学部 麻酔科学 森山 潔
 酪農学園大学大学院 獣医学研究科 獣医学専攻 中村暢宏
 酪農学園大学 岩野英知
 京都府立医科大学附属病院 佐和貞治

 
プレスリリース資料はこちら

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