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【論文掲載】幅広い生理活性物質の標的タンパク質の同定法を開発し、 がん細胞の新規増殖制御メカニズムを解明 ~様々な生理活性物質の作用メカニズム解明とがんの予防・治療への応用に期待~

本研究成果のポイント

○疾患の予防・治療効果を有する生理活性物質の中で、ヒドロキシ基を有する生理活性物質が標的とするヒトタンパク質を同定する方法を開発【ケミカルバイオロジー】
○がん予防効果が示唆されている、ワカメや昆布の成分であるフコキサンチノールの標的タンパク質としてribosomal protein uS7を同定【がん予防、食品の機能性】
○がん細胞の増殖に必須で、抗がん剤パルボシクリブなどの標的であるサイクリン依存性リン酸化酵素6(CDK6)に、ribosomal protein uS7が直接結合し安定化させることで、がん細胞の増殖に大きく寄与していることを発見【がん生物学、抗がん剤耐性】
○細胞周期の進行に同期して量が変動するサイクリンに対し、なぜ、サイクリン依存性リン酸化酵素の量は安定なのか長年の謎であったが、ribosomal protein uS7がその安定化に寄与していることを解明【生命科学】

研究概要

 京都府立医科大学大学院医学研究科 分子標的予防医学 飯泉陽介 学内講師らの研究グループは、疾患の予防・治療効果を有する生理活性物質の中で、ヒドロキシ基を有する生理活性物質が標的とするヒトタンパク質を同定する方法を開発しました。その技術を用いて、がん予防効果が示唆されている、ワカメや昆布の成分であるフコキサンチノールの標的タンパク質としてribosomal protein uS7を同定し、ribosomal protein uS7が抗がん剤パルボシクリブなどの標的であるサイクリン依存性リン酸化酵素6(CDK6)に直接結合し安定化させることで、がん細胞の増殖に大きく寄与していることを発見し、本件に関する論文が、英国科学雑誌『Communications Biology』に2022年6月9日(木)18時(日本時間)付けで掲載されましたのでお知らせします。
 医薬品や生理活性物質、食品成分、天然物質などの化合物の多くには、官能基としてヒドロキシ基があることから、本研究で開発されたヒドロキシ基を有する化合物の標的タンパク質の同定法の応用範囲は、医学にとどまらず、薬学、農学、生命科学など広範囲の学問領域に広がることが期待されます。標的タンパク質の同定は、疾患の予防や治療に必要な作用機構解明を可能とし、創薬標的の発見につながる可能性もあります。さらに、食品成分フコキサンチノールの標的タンパク質として見出されたribosomal protein uS7の詳細な解析により、生命科学上極めて重要な新規細胞周期制御メカニズムも解明されました。

 

論文情報

雑誌名 Communications Biology 
発表媒体 オンライン速報版
雑誌の発行元国 英国
オンライン閲覧 可
 https://www.nature.com/articles/s42003-022-03522-6
掲載日 2022年6月9日(木)午後6時(日本時間)
論文タイトル Stabilization of CDK6 by ribosomal protein uS7, a target protein of the natural product fucoxanthinol
[日本語:天然物質フコキサンチノールの標的タンパク質ribosomal protein uS7によるCDK6の安定化]
 
代表著者・筆頭著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 分子標的予防医学 飯泉陽介
共同著者(所属・氏名)※論文掲載順
 京都府立医科大学 教育センター 曽和義広
 京都府立医科大学 大学院医学研究科 分子標的予防医学 後居和佳奈
 関西学院大学 生命環境学部 生命医科学科 青野裕一
 京都府立医科大学 大学院医学研究科 分子標的予防医学 渡邉元樹
 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 来見田遥一
 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 亀田倫史
 京都薬科大学 赤路健一
 浜松医科大学 医学部医学科 分子生物学講座 北川雅敏
 京都府立医科大学 創薬センター 酒井敏行


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