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難治性の血管腫・リンパ管腫に対するシロリムス治験開始 世界初の薬事承認を目指して

岐阜大学医学部附属病院小児科の小関 道夫講師らのグループは、京都府立医科大学小児外科と共同で「難治性血管腫・リンパ管腫(脈管腫瘍・脈管奇形)に対するシロリムス療法」の医師主導治験を開始しました。
 

発表のポイント

・難治性の血管腫・リンパ管腫の原因を抑える画期的な薬物療法
・小児患者にも使用可能な顆粒剤を開発
・世界初の薬事承認を目指した医師主導治験
 

概要

(資料1参照※プレスリリース資料をご覧ください)難治性血管腫・リンパ管腫(脈管腫瘍・脈管奇形)とは、カサバッハ・メリット現象を起こす血管腫(カポジ型血管内皮腫、房状血管腫)や、静脈奇形、青色ゴムまり様母斑症候群、リンパ管奇形(リンパ管腫、リンパ管腫症、ゴーハム病)、混合型脈管奇形、クリッペル・トレノネー・ウェバー症候群などを指し、それぞれの疾患は小児慢性特定疾病や指定難病にも認定されています。生まれた時から大きな血管腫やリンパ管腫が全身に発生するため、整容的な問題だけでなく、頚部・胸部病変は呼吸障害を起こしたり、四肢の運動障害、出血、感染などを繰り返し、時に命にも関わることもあります。手術や硬化療法、レーザーなどの従来の治療法で改善しないような難治例は、生涯に渡って、その症状に苦しむことになりますが、現時点では、保険適応のある有効な薬剤はありません。最近、血管新生や腫瘍増殖に関わるPI3K/Akt/mTOR経路の遺伝子異常がこれらの疾患の原因となっていることが判明し、注目されています。シロリムス(ラパマイシン)はmTOR阻害剤の一つで、mTORを抑えることによって、これらの疾患の症状を改善し、腫瘍を縮小させる効果があることが国内外の研究で明らかとなってきました。シロリムスは海外で移植後の免疫抑制剤として使用されていましたが、本邦ではラパリムス錠(ノーベルファーマ株式会社が販売)がリンパ脈管筋腫症にのみ保険適応があります。本グループは、2017年に本剤を用いたリンパ管奇形(リンパ管腫、リンパ管腫症、ゴーハム病)に対する医師主導治験を実施し、非常に高い有効性を示しました。今回は、新たに開発した小児に使用可能な顆粒剤を追加し、リンパ管奇形だけでなく、他の血管腫・脈管奇形にも適応を拡大する目的で、岐阜大学、京都府立医科大学の他、九州大学、慶應義塾大学と共同で治験を実し、2020年中の症例登録を目指しています。
 
プレスリリース資料は こちら

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