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【論文掲載】持続する体内時計の乱れは免疫老化を促進する~体内時計と生活時間の「ズレ」が引き起こす病態メカニズムの一端を解明~

京都府立医科大学大学院医学研究科 統合生理学 教授 八木田和弘らの研究グループは、京都大学 生田宏一教授、理化学研究所・千葉大学 川上英良教授らと共同で、体内時計の持続的なかく乱が免疫老化を促進させ、慢性炎症の増進をもたらすことを解明しました。本研究成果に関する論文が英国科学雑誌『Scientific Reports』に2020年2月13日(木)付(英国時間)で掲載されますのでお知らせします。
【概要:研究成果のポイント】
◆体内時計の乱れが長期持続する明暗周期シフト条件では、寿命の短縮とともに免疫老化が促進。
◆体内時計の乱れが長期にわたり続くことで、免疫制御や免疫疾患に関係する遺伝子ネットワークの
  顕著な活性化が認められた。
◆肝臓では、持続する体内時計の乱れが脂肪肝炎様の持続する軽度の炎症(慢性炎症)を増進。
◆体内時計の乱れは、脾臓およびリンパ節において、老化関連T細胞の増加など免疫老化に特徴的な免疫細胞の
  変化を促進。
◆本研究により、概日リズム障害の根本的な病態理解に加え、予防法開発への寄与が期待される。
 <用語説明>
1)概日リズム:約1日周期の生体リズム。私たちのからだには、睡眠覚醒リズムだけでなく、血圧、体温、消化管の蠕動運動、内分泌、代謝など、様々な機能にこの概日リズムが見られます。
2)体内時計:概日リズムを生み出す仕組み。時計遺伝子と呼ばれる遺伝子群が構成する遺伝子発現のフィードバックループが基本骨格となり、約24時間周期のリズムをうみだします。
3)免疫老化:免疫系の加齢に伴う変化の特徴を包括したもので、獲得免疫機能の低下、炎症性素因の増大、自己免疫リスクの増大を特徴とする。
 
【研究プロジェクトについて】
 本研究は、以下の研究費の支援によるものです。
日本学術振興会 科研費 
 基盤(B) 18H02600 (八木田和弘)、挑戦的研究(萌芽)19K22516(八木田和弘)、
 基盤(C) 17KT0129(梅村康浩)
 基盤(B) 16H05172 (生田宏一)、若手研究 18K15184(榛葉旭恒)
科学技術振興機構(JST)
 JST未来社会創造事業 課題ID:19216520(研究代表者:八木田和弘、分担者:生田宏一、川上英良)

発表雑誌名(発行日)
英国科学雑誌Scientific Reports [2020年2月13日10時(英国時間)オンライン掲載]
【論文名】Chronic circadian misalignment accelerates immune senescence and abbreviates lifespan in mice.

【著者名】
 井之川仁1、梅村康浩1、榛葉旭恒2、川上英良3,4、小池宣也1、土谷佳樹1、大橋宗浩1、南陽一1、崔広為2、旭拓真2、小野龍太郎1、笹脇ゆふ1、小西英一5、Seung-Hee Yoo6、Zheng Chen6、手良向聡7、生田宏一2、八木田和弘1*

1. 京都府立医科大学大学院医学研究科 統合生理学
2. 京都大学ウイルス再生医科学研究所 免疫制御分野
3. 理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム健康医療データAI予測推論開発ユニット
4. 千葉大学大学院医学研究科 人工知能(AI)医学分野
5. 京都府立医科大学大学院医学研究科 人体病理学
6. Department of Biochemistry, University of Texas Health Science Center at Houston
7. 京都府立医科大学大学院医学研究科 生物統計学
*代表著者:
 八木田和弘(京都府立医科大学)
参照URL
www.nature.com/articles/s41598-020-59541-y

 
プレスリリース資料は こちら

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