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【論文掲載】濾胞(ろほう)性リンパ腫の新たな分類法を提唱 ~正常B細胞遺伝子発現パターンに基づく新規分類に関する論文掲載について~

研究の概要

 京都府立医科大学大学院医学研究科血液内科学 助教 塚本 拓、教授 黒田純也、ならびに同ゲノム医科学 教授 田代 啓らの研究グループは、低悪性度リンパ腫における最大病型である濾胞性リンパ腫の新たな分子遺伝学的分類法を提唱し、本件に関する論文が、科学雑誌『Blood Advances』に2022年1月6日付けで掲載されましたのでお知らせします。
 従来、濾胞性リンパ腫(FL)の腫瘍細胞の発生母地は、正常リンパ組織における胚中心B細胞(GCB)であると考えられてきました。こうした通念に対し、本研究では、胚中心B細胞に類似した遺伝子発現パターンを示す一群とは別に、分化段階の異なる活性化B細胞(ABC)に似た遺伝子発現パターンを示す一群が少なからず存在し、GCBタイプとABCタイプは背景にある遺伝子変異や染色体異常のパターンが異なるだけでなく、治療成績・予後も異なることを明らかにしました。本研究成果をもとに、新たな濾胞性リンパ腫の分類が臨床実装されれば、治療方針の最適化につながることが期待されます。

研究成果のポイント

・ 濾胞性リンパ腫には、従来から考えられてきた腫瘍発生母地(胚中心B細胞:GCB)とは異なる分化段階である活性化B細胞(ABC)に類似した遺伝子発現パターンを示す一群が存在することを証明した。
・GCBタイプとABCタイプの濾胞性リンパ腫では、遺伝子変異や染色体異常の特徴が異なるだけでなく、治療成績・長期予後が異なる。
・濾胞性リンパ腫における治療最適化につながり、分子病態の更なる解明によって、難治症例に対する新たな治療戦略開発のための基盤情報を構築することが期待される。

掲載論文情報

論文名:Expression of activated B cell gene signature is predictive of the outcome of follicular lymphoma
(日本語:濾胞性リンパ腫における活性化B細胞遺伝子発現パターンの予後因子としての意義)
雑誌名:Blood Advances (2022年1月6日)
雑誌の発行元国:米国
オンライン閲覧:
代表著者
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 塚本 拓
共同著者
京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 黒田純也
京都府立医科大学大学院医学研究科 ゲノム医科学 徳田雄市
京都府立医科大学大学院医学研究科 ゲノム医科学 中野正和
京都府立医科大学大学院医学研究科 ゲノム医科学 田代 啓
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