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【論文掲載】RET遺伝子異常肺がんの抵抗性を解除する新規治療法の開発と個別化医療の推進~RET阻害薬に対する抵抗性機構としてのHER3シグナル活性化の重要性を明らかにした論文掲載について~

本研究成果のポイント

〇 わが国の肺がん患者全体の約1-2%を占めるRET融合遺伝子に異常のある肺がんは、分子標的薬であるRET阻害薬が高い治療効果を示す一方で、「初期治療抵抗性」により一部の細胞が生き残り、その後、耐性化・再発してしまいます。
  本研究でRET阻害薬セルペルカチニブ治療に対する初期抵抗性メカニズムとしてHER3(ErbB3、ヒト上皮成長因子受容体3)シグナルが活性化することで、がん細胞が生存し続けることを明らかにしました。
〇RET阻害薬セルペルカチニブにHER3の活性化を抑える汎HER阻害薬アファチニブを初期から併用することでこの抵抗性を克服し、高い治療効果が得られることを明らかにしました。
〇これらの併用治療はHER3シグナルの重要な因子であるYAPタンパク発現が増加している肺がんにおいてその効果が高いことから、今後の個別化医療の推進への貢献が期待されます。
 

研究概要

 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 准教授 山田忠明、同 助教 片山勇輝、同 教授 髙山浩一、同大学 創薬医学 特任教授 酒井敏行らの研究グループは、日本人の肺がんの約1-2%を占める RET 融合遺伝子を有する肺がんにおける、新規RET阻害薬セルペルカチニブに対する初期治療抵抗性因子を解明し、本件に関する論文が、科学雑誌『Clinical Cancer Research』に 2024年11 月 4 日(月)付けで掲載されましたのでお知らせします。
 本研究は、転写因子YAPを高発現したRET融合遺伝子陽性肺がん細胞では、RET阻害薬セルペルカチニブ治療の初期治療抵抗性にHER3シグナル活性化が重要な役割を担うことを初めて明らかにしました。本研究成果をもとに、RET遺伝子異常を有する肺がんの個別化医療が推進され、治療成績の向上に貢献することが期待されます。
 

論文情報

雑誌名 Clinical Cancer Research
発表媒体 オンライン速報版
オンライン閲覧 可 https://doi.org/10.1158/1078-0432.CCR-24-1762
掲載日 2024年11月4日(日本時間)
論文タイトル(英・日)
 YAP regulates HER3 signaling-driven adaptive resistance to RET inhibitors in RET-aberrant cancer
RET(異常癌において、YAPはHER3シグナルを介したRET阻害剤に対する適応抵抗性を制御する)
代表著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 山田忠明
共同著者 
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 片山勇輝
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 谷村恵子
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 河内勇人
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 石田真樹
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 松井遥平
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 平井聡一
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 森本健司
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 中邨亮太
 聖マリアンナ医科大学病院 呼吸器内科 古屋直樹
 金沢大学 ナノ生命科学研究所 新井祥子
 藤田医科大学 呼吸器内科学講座 後藤康洋
 済生会熊本病院 呼吸器内科 坂田能彦
 大阪国際がんセンター 呼吸器内科 西野和美
 洛和会音羽病院 呼吸器内科 土谷美知子
 近畿中央呼吸器センター 呼吸器腫瘍内科 田宮朗裕
 千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科 齋藤合
 福島県立医科大学附属病院 呼吸器外科 武藤哲史
 京都第二赤十字病院 呼吸器内科 竹田隆之
 京都中部総合医療センター 呼吸器内科 伊達紘二
 大阪医科薬科大学病院 呼吸器内科・呼吸器腫瘍内科 藤阪保仁
 新潟大学医歯学総合病院 呼吸器・感染症内科 渡部聡
 兵庫医科大学 呼吸器内科 藤本大智
 徳島大学病院 病理部 上原久典
 京都府立医科大学大学院医学研究科創薬医学 堀中真野
 京都府立医科大学創薬センター酒井敏行
 金沢大学医薬保健研究域医学系 呼吸器内科学 矢野聖二
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 徳田深作
 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学髙山浩一


 
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