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【論文掲載】パーキンソン病脳内で神経変性が拡大するメカニズムを解明~神経変性の抑制効果が期待される新しい標的分子を発見した論文掲載について~

本研究の背景

 パーキンソン病やレビー小体型認知症の脳内では、神経細胞内に異常な凝集体「レビー小体」が形成され、時間の経過とともに多くの神経細胞が変性・脱落してしまいます。「レビー小体」の形成領域が拡大する分子的背景には「シード」と呼ばれる病原性分子のプリオン様細胞間伝播の関与が指摘されています。しかし、「シード」自身の性質や「シード」ができる詳細なメカニズムには未だ不明な点が数多く、現在も神経変性の進行を抑制する方法は確立していません。

本研究成果

・初代培養神経細胞を用いてレビー小体様凝集体を有するモデル細胞を作製し、この病的神経細胞が自ら産生・分泌したシード分子を分離・回収することに成功しました。
・シード分子の生化学解析により、シードを構成するタンパク質「αシヌクレイン」のN末端が特徴的な配列で切断されていることを見出しました
・切断部位の情報を基に、酵素「SENP2」がαシヌクレインを切断することSENP2阻害剤が凝集体の形成およびシードの細胞間伝播を効果的に抑制できることを見出しました。

研究概要

 京都府立医科大学大学院医学研究科 生体構造科学 講師 田口勝敏、同 教授 田中雅樹、同大学大学院医学研究科 基礎老化学 講師 渡邊義久ら研究グループは、パーキンソン病脳内における神経変性拡大の分子メカニズムを解明し、本件に関する論文が科学雑誌『iScience』に2025年2月1日付けでオンライン掲載されました。
 本研究成果を基に、今後はSENP2を標的分子として、その特異的阻害化合物を利用した創薬、細胞間伝播性シードを抗原とした構造特異抗体による新規神経保護ストラテジーの開発が期待されます。

論文情報

雑誌名 iScience
発表媒体 ■ オンライン速報版 □ ペーパー発行 □ その他
雑誌の発行元国 米国
オンライン閲覧 可https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589004225001956
掲載日 2025年2月1日(日本時間)
論文タイトル(英・日)
SENP2-based N-terminal truncation of α-synuclein in Lewy pathology propagation
(SENP2によるαシヌクレインのN末端切断がレビー小体の形成およびその形成領域拡大に与える影響に関する研究)
代表著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 生体構造科学 田口勝敏
 京都府立医科大学大学院医学研究科 生体構造科学 田中雅樹
共同著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 基礎老化学 渡邊義久
 
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