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【論文掲載】精神科リエゾンコンサルテーションは術後の向精神薬の適正な使用に役立っているのか?~術後の向精神薬使用実態調査に関する論文掲載について~

本研究成果のポイント

○手術を受けた患者は、術後に意識の混濁などを呈する「せん妄」をはじめ、様々な精神症状を呈することがあります。精神症状への対応は主治医である外科医により行われることが多くありますが、精神科医を始めとした専門家による助言・指導(精神科リエゾンコンサルテーション:以下、リエゾン)の有無が、術後の向精神薬(精神に作用する薬剤)の処方にどのような影響を与えるかに関する報告はこれまでありませんでした。
○カルテ調査の結果、術後せん妄を呈した患者に使用された薬剤の内訳はリエゾン介入の有無で大きな違いはありませんでしたが、全ての術後患者への処方内容について、術後せん妄を誘発するリスクがあるベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用頻度や、せん妄のない患者への抗精神病薬の使用頻度は、介入群で少ないことが明らかになりました
本調査は、病院全体における術後の向精神薬の使用に対するリエゾンの介入効果を明らかにしたという点で大きな意義があります
 

研究概要

 京都府立医科大学大学院医学研究科 精神機能病態学 助教 北岡 力らの研究グループは、術後に生じた精神症状に対して使用された向精神薬を含む精神症状治療に使用される薬剤(以下、向精神薬等)の実態調査を行い、リエゾンが依頼されたケースと、依頼のないケースで処方内容の比較を行いました。
 本研究に関する論文が、科学雑誌『Journal of Psychosomatic Research』に2025年4月16日付けで掲載されましたのでお知らせします。
 本研究は、2つの総合病院で全身麻酔による手術を受けた全ての患者を対象とし、向精神薬等の処方実態を調査するとともに、リエゾン介入の有無、術後せん妄発症の有無、薬剤性有害事象(薬剤使用に伴う健康被害)、および患者の背景情報を合わせて調査し、その関連を調査しました。
 本研究の結果から、リエゾン精神科医の関与のもと推奨される術後の向精神薬処方ガイドを作成し普及することは、病院全体における術後患者への向精神薬等の使用の適正化に寄与すると考えられます。特に、新規睡眠薬の普及、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の新規使用への注意喚起、抗精神病薬のせん妄予防や不眠治療での使用への注意喚起は、より質の高い術後の向精神薬等の使用につながることが期待されます。
 

論文情報

雑誌名 Journal of Psychosomatic Research
発表媒体 オンライン速報版・ペーパー発行
雑誌の発行元国 オランダ
オンライン閲覧 可
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S002239992500087X

掲載日 オンライン速報版: 2025年4月16日(日本時間)
論文タイトル(英・日)
英語:Impact of consultation liaison services on postoperative psychotropic drug use
(日本語:術後の向精神薬使用における精神科リエゾンコンサルテーションの影響)
代表著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 精神機能病態学 北岡 力
共同著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 精神機能病態学 綾仁信貴
 独立行政法人 国立病院機構 舞鶴医療センター 精神科(兼任)
 京都府立医科大学附属病院 薬剤部 浦松敬宏
 岐阜薬科大学 薬物送達学大講座 製剤学研究室 山添絵理子
 スギ薬局アルプラザ醍醐店 岡崎友哉
 京都府立医科大学附属北部医療センター 薬剤部 小川恭平
 独立行政法人 国立病院機構 舞鶴医療センター 精神科 横井崇人
 京都府立医科大学大学院医学研究科 精神機能病態学(兼任)
 京都府立医科大学附属北部医療センター 武田圭祐
 京都府立医科大学医学部医学科 中井光樹
 京都府立医科大学大学院医学研究科 精神機能病態学 大矢 希
 京都府立医科大学附属病院 医療安全推進部 中村 猛
 京都府立医科大学大学院医学研究科 生物統計学 堀口 剛
 京都府立医科大学大学院医学研究科 精神機能病態学 成本 迅
 
プレスリリース資料はこちら

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