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【論文掲載】妊娠中の母体ストレスをブロック!感受性期の11β-HSD2によるストレスホルモン遮蔽を解明~妊婦の健康や胎児の発育に関わる妊娠中の母子関係の一端を解明~

本研究成果のポイント

妊娠中、母体ストレス時に急激に上昇するグルココルチコイド(GC)から、胎児(胚)を守る仕組みの一端を解明。
器官形成期(ヒトでは受精後3〜8週頃にあたる)のマウス胎児(胚)では、母体のGCが胎児(胚)に作用しないよう遮蔽されていることを確認。
GC不活性化酵素11β-HSD2欠損マウス胎児(胚)を用い、母体のストレス曝露環境下において、胎児(胚)へのGCの作用を遺伝子発現解析で確認し、遮蔽効果が失われたことを明らかにした。
妊娠期間を通した母体ストレスからの胎児保護メカニズムとして、母体の健康や胎児発育へのリスク回避など、臨床面での貢献にもつながることが期待できる。
 

研究概要

 京都府立医科大学大学院医学研究科 統合生理学 教授 八木田和弘、同 女性生涯医科学 大学院生 藪本和也 及び 同 統合生理学 講師 梅村康浩ら研究グループは、京都大学医生物学研究所 教授 近藤 玄 および 同 助教 渡邊仁美 との共同研究により、器官形成期(感受性期)の胎児(胚)を母体のストレスから守る仕組みの一端を、マウスを用いた研究で解明しました。
 妊娠中、器官形成期と呼ばれる身体の基礎(身体の軸や基本構造・脳神経・心臓・四肢など)を作る時期は外部からの影響を受けやすく「感受性期」とも呼ばれ、母体からの様々な物質さえも有害となることがあります。ストレスホルモンと呼ばれる副腎皮質ホルモンの一種グルココルチコイド(GC)もその一つです。コルチゾルなどGCは、胎児の臓器発育にとって不可欠なホルモンですが、過剰な作用は胎児発育に悪影響を及ぼすため、その胎児への作用は厳密に調節されていると考えられてきました。
 今回、胎児(胚)や胎盤で発現するGC不活性化酵素11β-HSD2が、器官形成期におけるGCの遮蔽、特に母体のストレス環境において急上昇するGCの胎児移行をブロックするために不可欠な作用を担っていることを明らかにしました。
 本研究で明らかにした「胎児保護メカニズム」は、ヒトにおいては感受性期だけでなく妊娠期間を通して機能する仕組みであり、妊娠生理学の理解が進むことはもちろん、胎児発育のリスク回避や母体の健康を保つ生活習慣など、臨床医学への貢献が期待できます。
 本研究成果は、2026年8月25日付けで国際学術雑誌「PNAS Nexus」に掲載されましたのでお知らせします。
 

論文情報

雑誌名 PNAS Nexus
発表媒体 オンライン速報版
雑誌の発行元国 英国
オンライン閲覧 可
URL:https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgag286
掲載日 オンライン速報版:2026年8月25日 午前1時(日本時間)
論文タイトル(英・日)
11β-HSD2 buffers fetal glucocorticoid exposure inducing Per1 expression under maternal stress
(日本語:11β-HSD2は母体ストレス環境下でのグルココルチコイドによるPer1誘導を緩和する)
代表著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 統合生理学 八木田和弘
筆頭著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 女性生涯医科学・統合生理学 藪本和也
共同著者
 京都府立医科大学大学院医学研究科 統合生理学 梅村康浩
 京都大学 医生物学研究所 附属再生動物実験施設・統合生体プロセス分野 近藤 玄
 同                                  渡邊仁美
                                       他

プレスリリースはこちら

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