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令和5年度 入学式式辞

 令和5年4月、京都府立医科大学医学部、医学科・看護学科、ならびに大学院医学研究科・保健看護学研究科へ入学された皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。我々京都府立医科大学の教職員、在校生、ならびに附属病院職員を代表しまして心からお祝いを申し上げます。そして、今日の良き日を迎えられましたご家族の皆様にも心よりお祝いを申し上げます。
 また、明日は統一地方選挙にもかかわらず本日ご列席を賜りました古川京都府 副知事様、菅谷(すがや)京都府議会 議長様、河田学友会副会長様、中川看護学科 同窓会長様、諸岡(もろおか)文化教育 常任委員会 委員長様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 2019年中国武漢から始まった、世界中を混乱に陥れた新型コロナウイルスも、3年半が経ち、ようやく収束傾向となりました。日本でも5月8日に2類から5類に移行となります。皆さんのほとんどは高校の3年間がコロナ禍に見舞われて、非常につらい日々を過ごされたかと思います。文化祭や体育祭ができなかったり、授業がオンラインになったり、また修学旅行も行けなかったかもしれません。確かにあまりうれしいことは無かったと思いますが、逆にコロナ禍だからできたこと、できるようになったこと、学んだこともあったはずです。それらを是非思い返して心に刻んでいて頂きたいと思います。将来、この時の忍耐や工夫が無かったら成し遂げられなかったということが出てくるかもしれません。決してこの経験を無駄にしてはいけません。
 さて、京都府立医科大学は昨年創立150周年を迎え、今年151年目を歩み出しました。日本で屈指の歴史を持つ大学です。天皇が東京に移られ、明治維新の混乱の中、明治5年に粟田口青蓮院に療病院として設立されました。「学問と医療が無ければ国は滅びる」という先人達の高邁で強靭な信念の下、寺社、財界、府民、花街を動かし、当時の京都府知事、そして明治天皇のご支援も受け設立に至りました。その建学の精神は現在の京都府立医大の理念「世界トップレベルの医学を地域へ」に受け継がれております。世界トップレベルの研究・臨床を世界に発信し、地域に還元することによって社会に貢献し、そしてそれらを、今後も持続的に担う人材を育成するのが我々京都府立医大の使命です。今、新しく京都府立医大の一員になられる皆さんには是非誇りをもって今後の、医学・看護学生、研究者、あるいは医療人としての人生を送って頂ければと思います。
 学長として皆様にお願いしたいことは3つあります。1つ目は、自学自修の精神です。我々教員が授業や実習で教えられることはほんのエッセンスであり限られています。学ぶべきことはもっともっとあります。是非自分で課題を見つけ、それに対して自ら学修して解決することを学んで頂きたいと思います。
 2つ目は利他の精神を是非身に付けて頂きたいと思います。医学科、看護学科に入学された皆さんは将来、医師免許、看護師免許を取得されます。これは我々に与えられた医療の独占権です。それを行使するためには同時に責任が生じます。それは高い知識と技術を習得することだけではなく、利他的な精神と倫理観を持つことが求められます。将来そのような職に就かれる皆さんには、是非学生の内からその心を身に付けて頂きたいと思います。
 そして3つめは自分で自分の限界を設定しないで頂きたいということです。学生時代には勉学以外にいろいろな事に挑戦して頂きたいと思いますが、何事にも情熱をもって取り組んで頂きたいと思います。皆さんに限界はありません。これは無理だとあきらめるのは、人が言うからではなく自分が決めているのです。是非自分で自分の能力の限界を作ってしまわないで下さい。
 さて最後になりますが、私、学長を含めこの4月に大学ならびに附属病院の執行部の多くが変わりました。また新たな気持ちで、世界トップレベルの研究と臨床を推進し、そして地域に貢献してまいります。今年度入学されました皆さまにも我々の一員として、有意義な学生生活を送って頂きたいと思いますし、そのために大学はあらゆる努力を惜しみません。将来の大学の担い手として羽ばたかれることを切に願ってお祝いの言葉といたします。
 本日は誠におめでとうございます。
                          令和5年4月8日 京都府立医科大学 学長 夜久 均 

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