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令和6年度 入学式式辞

 令和6年4月、京都府立医科大学医学部、医学科107名・看護学科85名、ならびに大学院医学研究科 76名・保健看護学研究科7名の、入学された皆さん、誠におめでとうございます。我々京都府立医科大学の教職員、在校生、ならびに附属病院職員を代表しまして心からお祝いを申し上げます。そして、今日の良き日を迎えられましたご家族の皆様も、お喜びはひとしおかと思います。心よりお祝いを申し上げます。
 また、お忙しいご公務の中、本日ご臨席を賜りました古川京都府 副知事様、石田京都府議会 議長様、河田学友会 会長様、中川看護学科 同窓会長様、京都府議会政策環境建設常任委員会の皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございます。
 まずここで皆さんに京都府立医科大学がどのような大学かを知っていただきたいと思います。府立医大は明治5年に創立され、2022年に150周年を迎えた、日本で屈指の歴史を誇る大学です。明治維新、天皇が東京に移られ、鳥羽伏見の戦いの混乱の中、東山粟田口青蓮院に療病院として設立されました。「学問と医療が無ければ国は滅びる」という先人達の高邁で強靭な信念の下、寺社、財界、府民、花街を動かし、当時の京都府知事、そして明治天皇のご支援も賜り設立に至りました。その建学の精神は、現在の府立医大の理念「世界トップレベルの医学を地域へ」に受け継がれています。世界トップレベルの研究・臨床を推進し、それらを世界に発信し、地域に還元することによって社会に貢献し、そしてそれらを、今後も持続的に担う人材を育成するのが我々府立医大の使命です。今、新しく府立医大の一員になられる皆さんには是非誇りをもって、今後、医学・看護学生、研究者あるいは医療人としての人生を送って頂ければと思います。
 さて、医学・医療を取り巻く環境は今後も目まぐるしく変化していきます。2025年には団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者になります。団塊の世代の18歳時の人口は現在の18歳人口の2.5倍でしたので、高齢化率は一気に進み、疾病構造も著しく変化していきます。後期高齢者の死因の第一位は癌ではなく、肺炎・心不全です。また、その先、2040年には現在50歳前後の団塊ジュニア世代が65歳の定年を迎え、医療も含めて社会を支える労働人口が一気に減少することになります。このような人口減少、高齢化、疾病構造の変化が起こる時代を皆さんは医学・医療の分野で歩んでいくことになります。このことは決して悲観することではなく、劇的な社会の変化は新しいニーズを生み、そこにイノベーションが起こるはずです。是非皆さんには、知識・技術だけではなく、社会の変化を敏感に感じ、課題を見つけ、それらを、分野を超えてそして組織を超えて解決できる柔軟な力、いわゆる人間力を、学生時代から培っていただきたいと思います。
 TOKYO 2020オリンピックでJOCが掲げていたのは「人間力無くして競技力の向上無し」というスローガンです。世界のトップアスリートが結果を残すための三つの要素は、身体能力25%、技術力30%、人間力45%ということです。トップアスリートであっても持って生まれた身体能力の要素はたった4分の1であり、それ以外は努力で身に付けるもの、そして人間力です。医学的弱者である患者さんを対象とする医学・医療にはさらに大きな割合で人間力が要求されるはずです。
 それを培うために、学長として皆さんにお願いしたいことは3つあります。
 1つ目は、自学自修の精神を養って頂きたいということです。我々教員が授業や実習で教えられることは、ほんのエッセンスであり限られています。学ぶべきことはもっともっとあります。是非自分で課題を見つけ、それらに対して自ら学修して解決することを学んで頂きたいと思います。そしてこの事は医学・看護学の事だけにとらわれず、分野を超えて拡げて頂きたいと思います。
 2つ目は利他の精神を身に付けて頂きたいということです。医学科、看護学科に入学された皆さんは将来、医師免許、看護師免許を取得されます。これは我々に与えられた医療の独占権です。それを行使するためには同時に責任が生じます。それは高い知識と技術を習得することだけではなく、利他的な精神と倫理観を持つことが求められます。将来そのような職に就かれる皆さんには、是非学生の内からその心を身に付けて頂きたいと思います。
 そして3つめは自分で自分の限界を設定しないで頂きたいということです。学生時代には勉学以外にいろいろな事に挑戦し、何事にも情熱をもって取り組んで頂きたいと思います。皆さんに限界はありません。これは無理だとあきらめるのは、人が言うからではなく自分が決めているのです。皆さんの能力は無限です。自分の能力を信じて何事にも取り組んで下さい。
 最後になりますが、私学長を含め大学ならびに附属病院の教職員は新年度を迎え、新たな気持ちで、世界トップレベルの研究と臨床を推進し、それを世界に発信し、そして地域に貢献してまいります。今年度入学されました皆さんには我々の一員として、有意義な学生生活を送って頂きたいと思いますし、そのために大学はあらゆる努力を惜しみません。将来の大学の担い手として羽ばたかれることを切に願ってお祝いの言葉といたします。
 本日は誠におめでとうございます。
 
令和6年4月6日 京都府立医科大学 学長 夜久 均
 

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