京都府立医科大学：【論文掲載】がんに伴う複合的代謝異常症候群「がん悪液質」が複合免疫療法の治療効果に悪影響を与える

本研究成果のポイント

○がんに伴う体重減少や食欲不振を特徴とする多因子性の症候群である「がん悪液質」が複合免疫療法の治療に悪影響を与える可能性があることを明らかにしました。

○がん細胞表面に存在するPD-L1の発現率で分けて比較すると、PD-L1発現の低い群において、がん悪液質を有する非小細胞肺がん患者では、非がん悪液質の患者と比べて、複合免疫療法の治療効果が不良である一方で、PD-L1発現が高い群では両者に明らかな差は認められませんでした。

○複合免疫療法の治療効果にがん悪液質が与える負の影響が明らかになったことで、今後はがん悪液質を治療し、肺がん治療の発展につなげていくことが期待されます。

研究の概要

京都府立医科大学大学院医学研究科　呼吸器内科学　客員講師　内野順治、教授　髙山浩一ら研究グループは、進行期非小細胞肺がん患者に対する複合免疫療法において、がん悪液質が与える影響を調査し、本件に関する論文が、科学雑誌『OncoImmunology』に2021年7月8日付けで掲載されましたのでお知らせします。

本研究では、進行期非小細胞肺がん患者と非悪液質患者との比較により、複合免疫療法の治療効果にがん悪液質が悪影響を与える可能性があることを明らかにしました。本研究成果をもとに、今後は、がん悪液質を改善させ、肺がん治療のさらなる発展につなげていくことが期待されます。

論文情報

雑誌名：OncoImmunology（オンライン速報版）

雑誌の発行元国　米国

オンライン閲覧：https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/2162402X.2021.1950411

掲載日：2021年7月8日

論文タイトル：

Impact of cancer cachexia on the therapeutic outcome of combined chemoimmunotherapy in patients with non-small cell lung cancer: a retrospective study (非小細胞肺がん患者における複合免疫療法の治療効果にがん悪液質が与える影響：後方視的検討)

代表著者：　

京都府立医科大学大学院医学研究科　呼吸器内科学　森本健司

共同著者：　

京都府立医科大学大学院医学研究科　呼吸器内科学　内野順治

兵庫医科大学　胸部腫瘍学特定講座　横井崇

兵庫医科大学　呼吸器・血液内科学　木島貴志

藤田医科大学呼吸器内科学講座　後藤康洋

福岡大学呼吸器内科　中尾明

湘南藤沢徳洲会病院呼吸器内科　日比野真

京都第二赤十字病院呼吸器内科　竹田隆之

長崎大学病院呼吸器内科　山口博之

京都第一赤十字病院呼吸器内科　内匠千惠子

一宮西病院呼吸器内科　竹下正文

宇治徳洲会病院呼吸器内科　千原佑介

松下記念病院呼吸器内科　山田崇央

市立大津市民病院呼吸器内科　平沼修

京都府立医科大学大学院医学研究科　呼吸器内科学　森本吉恵

京都府立医科大学大学院医学研究科　呼吸器内科学　岩破將博

京都府立医科大学大学院医学研究科　呼吸器内科学　金子美子

京都府立医科大学大学院医学研究科　呼吸器内科学　山田忠明

京都府立医科大学大学院医学研究科　呼吸器内科学　髙山浩一

プレスリリース資料はこちら