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令和6年 年頭挨拶

 
 教職員の皆さん、そして学生諸君、2024年明けましておめでとうございます。
 新年から能登半島地震、日航機と海上保安庁機の衝突事故で、大変な幕開けとなりましたが、亡くなられた方々には謹んでお悔やみを、被災されている方々にはお見舞いを申し上げます。
 昨年4月に学長を拝命し、9か月が経ちました。4月に大学の運営方針を示させていただき、主な項目の種蒔きはできたかなと思っています。今年はそれらの実現に向けて更に前に進むことができればと思います。
 基本的な方針は、医学の分野で世界に伍する研究大学でいること、そして産学公連携を推進し、研究成果を社会実装・社会貢献に繋げ、地域中核大学であること、そしてそれらを支える人財の育成です。
 その意味で一番力を入れていることの一つは産学公連携プラットフォーム作りであり、KPUM Medical Innovation Core for Society(K-MICS)という機構を作ることを7月の教授会で認めていただき、今肉付けを急ピッチで行っているところです。この目的は、我々が既に共同研究を行っている京都の創業者企業を中心に包括連携協定を結び、共通のプラットフォームでシーズとニーズの見える化を図り産学公連携を面で推進すること、また研究者、医師の交流、人材育成、アントレプレナーシップ等の知識共有を、大学を挙げて行っていく事です。また研究のための財政基盤の構築に繋げることも大きな目的です。年度当初からの本格稼働に結び付けたいと思っています。
 次に、北部医療センターの知の拠点化です。京都府における地域医療を担っていくことは府立医大としては生命線であり、150年の歴史の足跡であるかといえます。若い医師が地域に希望をもって赴任してもらうには、地域の魅力化をする必要があり、産業、観光、教育等の地域振興を地域の首長の方々には申し入れております。一方、アカデミアである我々がするべき魅力化は、地域医療に従事する医師のキャリア形成の道筋を立てるという事です。そのために来年度当初より、北部医療センターに大学院のコースを設け、地域医療の臨床に従事しながら、地域のフィールドでのデータ集積・解析による疫学的・公衆衛生学的研究を遂行し、博士号獲得ができるようになります。これにより、北部地域で地域医療に従事する地域枠や自治医大卒業医師に関しましても義務年限内で専門医、博士号取得が可能になり、その後の海外留学等キャリア形成をする上での広がりができることを期待しています。今年4月からの北部大学院には既に数名の医師が申請をしています。
 三つ目として、教育に関して、今年は大学機関別認証評価、来年には医学教育分野別認証評価の受審の年になっています。学修者本位の教育を目標に、学生が何を学んだか、何を身に付けたかを評価していく中で、内部質評価に関してのPDCAサイクルを機能的に動かす必要があります。昨年は教育委員会とは別にプログラム委員会、プログラム評価委員会が立ち上がりましたので、今年は実際に機能していかなければなりません。また、昨年はCBT, OSCEが公的化されましたので、診療参加型臨床実習がしっかりと遂行されているかのモニタリングも今年の課題です。教育に関するもう一つの大きな取り組みは入試制度改革です。一般入試における現在の学力のみの選考から、主体性をもって多様な人々と協働する力を評価する入試への改編を目指して、入試制度委員会のWGにおいて、昨年新設された入試室からの提案に基づいて検討を加え、今年文科省への申請をしたいと考えています。
 四つ目として、大学整備構想は、今年度1年間は実施計画を議論していただいているところです。令和3年度に作成された基本計画の中の前期棟に集約し、その中に附属病院の根幹である中央診療機能を盛り込んだ形で完成しつつあります。それを来年度にどのような展開にしていくかは、来年度当初予算次第ですが、何とか基本設計に踏み込みたいと考えています。
 五つ目ですが、附属病院に関することで、今年度の大きな大学決定としましては、附属病院の救命救急センター指定申請です。今年は附属病院における救急体制の整備に向けて、医師・看護師・事務方の人財育成と体制作りは大きな目標となってきます。また、附属病院では今年4月から医師の働き方改革が始まります。これに関しても最初は混乱も予想されますが、大学としてはその中でも研究力を落とさない体制作りが必要かと思いますので、注視していきたいと思います。
 最後になりますが、コロナ渦の中で重症患者を中心に対応していた当大学においては通常医療体制への回復に時間を要し、また、最近まで第9派に対する対応を余儀なくされ、加えて光熱費、医薬材料費の高騰の中、かなり厳しい財政状況になっています。附属病院、北部医療センターに於きましては既に経営改善のための方策が示され、教職員の皆様には多大なご努力をいただいているところですが、法人では法人内に組織経営の専門家も含めて経営改善の実行部隊の構築が始められており、また外部委員の選定も行います。今年一年、先ほど述べました大学整備計画をはじめとする新しい計画を実行に移すためにも、是非皆さんのご協力をお願いいたします。
 今年も何卒オールKPUMでの大学運営にご協力のほどよろしくお願いします。
 
令和6年1月4日
京都府立医科大学 学長 夜久 均

〒602-8566. 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465

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