図書館メールNews 第264号………………>>>>>2014. 8. 22発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  目次 ……………………………………………………………………………………………… 【1】--- コラム第8弾! 第3回 「坂の上の雲」で思い出す留学時代             神経内科学教室  /  水野 敏樹先生 ……………………………………………………………………………………………… 【2】--- 最新版インパクトファクターがリリースされました ……………………………………………………………………………………………… 【3】--- 松本仁介医学振興基金に、2冊追加しました! ……………………………………………………………………………………………… 【4】--- 文献検索講習(15分講習会)を実施しています ……………………………………………………………………………………………… 【5】--- 平成26年度第2回企画展示 <さらば 花園学舎:本学医学科の教養教育のあゆみ>展を開催しています ……………………………………………………………………………………………… 【6】--- 夏季休暇中の貸し出し期間を延長します ………………………………………………………………………………………………    [ Book Review ]・・・編集後記にかえて ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】---  コラム第8弾! 第3回 「坂の上の雲」で思い出す留学時代             神経内科学教室  /  水野 敏樹先生 ………………………………………………………………………………………………  最近は長編小説を読む時間が全くない.振り返ってみると2006年の夏休みに 話題になった「ダビンチコード」を読んで以来全く読んでいないように思う. さらにその前は留学中読んだ「坂の上の雲」まで遡るかも知れない.坂の上の 雲は2009年~11年にNHKでテレビドラマ化されたからご存知の方も多い司馬遼太 郎の長編小説である.この小説は文庫本で8冊にわたるのだが、ちょうどイギ リスのニューキャッスル大学へ留学中、子供が通っていた日本人学校のバザー でまとめて売られていたので手に入れた.海外ではそれぞれの地域の日本人コ ミュニティーで帰国する人達が自分達の使っていた日用品を売りさばいて帰っ て行く.留学中日本語に飢えた状態になっていたので本が妙に愛おしかった. イギリスの冬は長く、どこへも出かけることがない週末に読みふけったことを 思い出す.  さて坂の上の雲である.主人公の秋山兄弟が明治後期軍人となり日清・日露 戦争で活躍するまでを幼少期から明治の空気と共に描き出した作品である.ロ シアから歴史的な勝利を収めた日本海海戦で参謀を務めたのが弟秋山真之であ る.彼はイギリス、そしてアメリカへ渡ったのだが、この時代日本からフラン ス、イギリス、アメリカ、ロシアと海外へ飛び出していった若い士官が多くい たことがまず驚きであった.現在と異なり、海外へ出るということは一生の間 にほとんどない時代である.その時代にとてつもない高揚感を持って彼らは海 外へ出て行った.これから目の前にロシアとの戦争があるかもしれない.この 国の運命が自分達の肩にかかっていることを彼らは感じながら留学したのであ る.自分自身の留学中これから自分は何ができるだろうと思いながらこの小説 を読むと、彼らの気持ちに自分の気持ちを思わず重ねてしまった.  そしてこの小説にはニューキャッスルが出てくるのである.当時のニューキ ャッスルは炭鉱町であり、軍港、そして造船の町であった.ニューキャッスル は瓢箪型のイギリスの最も東西の距離が短いくびれの東端、北海に面した港町 である.歴史上繰り返しバイキングの襲来を受け、強いデーン(デンマーク) 訛りが残っている地域である.この造船所では日露戦争中旅順港で撃沈した初 瀬、八島、そして日本海海戦で活躍した4隻が作られている.この造船所を経 営していたのはアームストロング社で、現在はnational trustが管理している クラグサイドという大変美しいイギリス庭園をその創設者は有していた.クラ グサイドの記念館には戦艦吉野の模型や徳川幕府からの屏風まで、日本に関す るものが多く展示されている.日本は多くの武器弾薬と共に軍艦を買ってくれ たお得意様だったのである.そしてこの戦艦吉野をニューキャッスルで受け取 り、日本まで曳航する役割を秋山真之が担っている.おそらく当時もかわらず 強い訛りで大変理解しにくい英語で船の説明を聞いた秋山がどのような気持ち だったろうとやはり自分に重ねてしまうのである.秋山がパブで片言の英語で ビールを頼む場面が出てくるが、愛想の良い酒場のお姉ちゃんがビールだけは わかって持ってきてくれた.結局コミュニケーションは言葉ではないのである.  司馬遼太郎が言うように当時登って行くことだけを夢見ていた日本人と、閉 塞感が強い現在の日本とでは時代が大きく異なる.海外留学すればそれがすぐ に何かに結び付くわけではない.しかし海外へ出ると何らかの高揚感を若い君 達は必ず感じると思う.「坂の上の雲」という本のタイトルを見るだけで自分 自身かつて留学時に体験した高揚感を思い出す.もう一度読んでみたいもので ある. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】--- 最新版インパクトファクターがリリースされました ……………………………………………………………………………………………… 最新版のインパクト・ファクター(2013年)がリリースされましたので  「Journal Citation Reports(JCR)」をどうぞご利用ください。  JCRとは、論文の引用データを使って、学術雑誌の影響度を評価・比較する   分析ツールです。  4月にインターフェースが変わり、検索方法も変わりました。簡単な検索方法  を以下に記しますので、参考にご覧ください。  1)次のURLにアクセスする。https://jcr.incites.thomsonreuters.com/  2)“Continue without signing in”をクリックしてログインする。  3)ジャーナルごとの指標を見たい場合には、“Journals By Rank”をクリック    する。  4)インパクトファクター順のデータが表示される。タイトル順にしたい場合    には、"Full Journal Title"をクリックする。ジャーナル名で検索したい    場合には、左上の検索ボックスに、雑誌名(フルタイトルまたは前方一致)、    入力して検索する。  ※全タイトルのインパクトファクターをダウンロードしたい場合には、右上   に表示されている、下向きの矢印マークをクリックして保存形式を選択して   ください。  ※新プラットフォームのJCRでは「自然科学版(SCIE 8,100 誌以上)」に加え、 「社会科学版(SSCI)3,500 誌以上」を利用することができるようになりました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】--- 松本仁介医学振興基金に、2冊追加しました! ……………………………………………………………………………………………… デジタルアーカイブページ松本仁介医学振興基金の古医書コレクションに新たに 2冊追加いたしました。 今回追加したのは、『内科秘録』、『蘭説辨惑』の2冊です。ぜひご覧ください。 今後もタイトル数を増やしていく予定です。 ◆京都府立医科大学附属図書館デジタルアーカイブ http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/library/denshi/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】--- 文献検索講習(15分講習会)を実施しています ……………………………………………………………………………………………… 一昨年から、マンツーマン・短時間の文献検索講習を実施しています。   PCを操作しながら、図書館員が文献検索のお悩み解決のお手伝いをするものです。   これまでに受講された方の身分は、看護師、薬剤師、医師のほか、リハビリ   技師、言語聴覚士などの医療技師、研修医、教室秘書、事務職員などさまざま   ですが、ご好評をいただいています。 PubMedや医中誌Webといったデータベースの基礎的な検索方法のコース、あるいは   データベースの特徴、ホームページの使い方、基本的な検索方法、文献PDFの   入手などについて基礎的な内容を短時間で説明させていただくことも可能です。 毎週水曜日に実施しています。申込不要ですので、お気軽に図書館カウンターに お声かけください。お待ちしております。 ◆ 日時:平成26年7月30日(水)〜10月29日(水)の毎週水曜日         11:00 / 16:00 の2回      ※上記と異なる日程や時間を希望される方はご相談ください。 ◆ 場所:図書館カウンター周辺 ◆ 事前申込:不要 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【5】--- 平成26年度第2回企画展示 <さらば 花園学舎:本学医学科の教養教育のあゆみ>展を開催しています ……………………………………………………………………………………………… 平成26年度第2回企画展示 <さらば 花園学舎:本学医学科の教養教育のあゆみ>展を開催しています。 ■期間:平成26年8月1日(金)〜9月30日(火)  ■場所:附属図書館1階 特設展示コーナー  チラシはこちら → http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/news/2014/files/8176.pdf  今年度、本学の教養教育は三大学共同化により大きく変貌します。 本学の医学科生が長年親しんだ花園の地を離れるにあたって、開学以来の医学科 教養教育のあゆみを図書館所蔵の資料から振り返ります。どうぞご覧ください! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【6】--- 夏季休暇中の貸し出し期間を延長します ……………………………………………………………………………………………… 7月14日(月)から8月9日(土)まで、貸出期間は1ヶ月    8月11日(月)から8月27日(水)まで、返却期限が9月11日(木) 8月28日(木)からは通常通り(2週間) ★ 期間延長は図書に限ります。    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ……………………………………………………………………………………………… [Book Review]  「わたしを離さないで」 (カズオ・イシグロ著 ハヤカワepi文庫 2008)     とある「使命」を果たすため、隔離され“健康には特別注意して”育てられる こどもたち。彼らが「提供者」と呼ばれるクローン人間であることがぼんやりと 明らかになってくる筆致に心が静まる、おそろしくも哀しい近未来の物語。  「提供者」に頼らなくてもよい世の中になりますように、iPS研究が進むことを 祈ります。(I.K.)   トップページ:  http://booklog.jp/users/kpumlib   この本のページ: http://booklog.jp/item/1/4151200517 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ………………………………………………………………………………………………  図書館メールNews  第264号 2014. 8. 22発行(隔週金曜日発行)  編集・発行 : 京都府立医科大学附属図書館          library@koto.kpu-m.ac.jp          http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/          ………………………………………………………………………       (図書館メールNewsのバックナンバーはこちらから↓) http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/sougouannai/mailnews.html ………………………………………………………………………………………………