図書館メールNews 第260号………………>>>>>2014. 6.27発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  目次 ……………………………………………………………………………………………… 【1】--- コラム第8弾! 第1回 『照古觀今』 保健看護学研究科 医学講座 / 山中龍也先生 ……………………………………………………………………………………………… 【2】--- 2014年購入雑誌・データベースについて ……………………………………………………………………………………………… 【3】--- 【Mary Ann Libert】トライアル ……………………………………………………………………………………………… 【4】--- 【Thieme Journal】トライアル ………………………………………………………………………………………………    [ Book Review ]・・・編集後記にかえて ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】--- コラム第8弾! 第1回 『照古觀今』 保健看護学研究科 医学講座 / 山中龍也先生 ……………………………………………………………………………………………… 三月の中旬、共同研究の打合せに新潟大学脳研究所を訪れた際、「脳外科医・ 中田瑞穂 生誕120周年展」が、大学をはじめ氏ゆかりの場所で開催されていた。 中田瑞穂先生(1893〜1975)は、同大学に日本初の脳神経外科学講座を開 設し、我が国の脳神経外科学の礎を築かれた偉大な先輩である。展示によると、お 人柄は自然体で純粋、真理の追求に情熱を燃やす人であったという。繊細で確実な 手術は出血をさせず、長時間にわたってもそのテンポが変わることはなかった。手 術所見のスケッチを克明に実物そのものに仕上げられ、1例1例の手術から能う限 りのものを学び取り次の手術に備えられた。また、常に患者を思う心を持ち、死亡 した患者の病理解剖は、必ず最後まで見ておられたという。先生はホトトギス派の 俳人としても知られ高浜虚子らとも親交があり、「学問の静かに雪の降るは好き」 「刻々と手術は進む深雪かな」など、先生の人となりを彷彿とさせる句も残されて いる。脳科学者で京大総長であった平澤興先生は、「学者と詩人と画家が完全に融 けて、一人の人間の中に同居し、しかも互いに補い合って、その各面を広く深くし ている」と「中田瑞穂脳腫瘍図譜」に寄稿している。  20年以上も前のことであるが、私が富山県立中央病院での勤務を終える際、中田 先生の孫弟子の副院長先生から中田瑞穂先生著の「脳腫瘍」のコピー製本を記念品 としていただいた。帰宅後、懐かしく手に取ると、見返しには『照古觀今』と恩師 の言葉があった。同書を著した動機を「脳腫瘍患者がいろいろの医師を訪ね迷い、 やがて何もされぬうちに空しく生命を失うというのは、もはや日本位になってしま った」「私は吾国にも新しい脳外科の実際に携わるものが筆を執った日本語で書か れた脳腫瘍の書物がまず必要であると思う」と述べておられた。CT・MRI、手術顕 微鏡もない時代だったが、手術所見のスケッチは精密で、実に見事なものであった。 偉大な先人の時代と比べ、脳腫瘍の診断学・治療学はめざましく発展し、膨大な分 子生物学的知見が集積した。にも拘わらず、悪性脳腫瘍の代表である神経膠芽腫の 治療成績はあまり改善していない。というのは、「難治がん」に対する遺伝子解析 を基本とした“根本的”と考えられる治療法の開発の取り組みは、最近始まったば かりなのである。例えば、米国国立医学図書館のMEDLINEは文献だけでなく、膨大な 遺伝情報を提供し、研究者が恩恵に預かっている。また、疾患関連遺伝情報のデータ ベース化のプロジェクトも進んでいる。がんゲノムアトラス(TCGA:The Cancer Genome Atlas)と国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC:International Cancer Genome Consortium) は、がんの網羅的ゲノム情報を研究者間で共有し、がんの研究及び制圧を加速するこ とを目標としている。腫瘍のDNA配列を解読し遺伝子変異の包括的な目録作りを進めて いるが、既に、メジャーながん種を中心に1万5千症例以上の遺伝子解読データが集積 され、データの閲覧やダウンロードが可能となっている。これらの遺伝情報を高度な 情報科学的アプローチにより、研究・臨床の場で簡便に利用しながら、がんに立ち向 かう時代となりつつある。『照古觀今』の実践の場でもある図書館は時代の変遷とと もにその役割が多様化しているが、現在のデータベースが、研究者の地道な努力の積 み重ねにより構築されていることを鑑みると、患者さんから提供いただいた貴重な臨 床サンプルの情報をデータベース登録する事により、後世、有効に活用してもらえる ように努めていくことも、研究者・臨床医としての責務と考えられる。 *今年度も先生方にご協力いただき<教員コラム>を連載(隔号・全 8 回)予定ですので、 お楽しみに!(編集子) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】--- 2014年購入雑誌・データベースについて ………………………………………………………………………………………………   2014年購入雑誌・データベースの状況を図書館ホームページでお知らせして   います。2014年附属図書館購入雑誌・データベースについて」(学内のみ)を ご覧ください。 http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/library/journallist/journallist_2014/2014journal.pdf 前年同様のジャーナル・データベース類の購入を維持しています。ご活用ください。 *データベース収録タイトルは出版社による追加、出版社移動など様々な   理由で増減があります。個別のタイトルの状況について疑問があれば、図書   館までお問い合わせください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】--- 【Mary Ann Libert】トライアル ……………………………………………………………………………………………… 「Tissue Engineering」など臨床医学・薬学・製剤関連分野70誌にアクセスできます。 タイトルリスト+アクセス先:こちら http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/news/2014/files/7513.pdf トライアル期間:7/31まで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】--- 【Thieme Journal】トライアル ……………………………………………………………………………………………… 「J Reconstructive Microsurg」など医学系33誌にアクセスできます。 タイトルリスト+アクセス先:こちら  http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/news/2014/files/Thieme_Title.pdf トライアル期間:7月31日まで     ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ……………………………………………………………………………………………… [Book Review]   大和雅之「おしゃべりな細胞たち」(講談社 2012)   この本は、再生医療入門。独創的な細胞シート工学を提唱した著者が、5人と   の対話を通じて語りかける。まあ、重い話を布団の中でも読める気安さと気楽   さがある。より美しく健康に生きていくために必要なことがらを概観できるだ   ろう。(第2閲覧室 490.4/Y)(S.K.)      トップページ:  http://booklog.jp/users/kpumlib   この本のページ: http://booklog.jp/item/1/4062174804 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ………………………………………………………………………………………………  図書館メールNews  第260号 2014. 6. 27発行(隔週金曜日発行)  編集・発行 : 京都府立医科大学附属図書館          library@koto.kpu-m.ac.jp          http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/          ………………………………………………………………………       (図書館メールNewsのバックナンバーはこちらから↓) http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/sougouannai/mailnews.html ………………………………………………………………………………………………