図書館メールNews 第349号………………>>>>>2017.11.24発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  目次 ……………………………………………………………………………………………… 【1】--- 教員コラム第11弾 第7回「図書館と私」血液内科学教室 / 黒田純也    ……………………………………………………………………………………………… 【2】--- 引用文献データベース「Web of Science」アンケートにご協力ください ……………………………………………………………………………………………… 【3】---「FindFullText京都府立医科大学」アイコンがパワーアップ        〜ハイブリッド誌のOA論文 にもリンク! ……………………………………………………………………………………………… [ Book Review ]・・・編集後記にかえて ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】--- 教員コラム第11弾 第7回「図書館と私」血液内科学教室 / 黒田純也 ……………………………………………………………………………………………… 図書室との出会いは小学校に入学後、間もなくのことです。そこは時が止まった ような静寂のなかに、多くの書棚と机が幾重に整然と並ぶ畏怖を感じる空間であ り、その後、思春期に至るまで近づきづらい場所でした。中学から高校までは6年 一貫の男子校でした。学校の図書室には、重厚な文集や史書、事典などのほか、 整然と並ぶ参考書や赤本の類が私を圧倒しました。自習室も備わっていて、分厚 い参考書を積み広げ、見たこともない記号と格闘している先輩たちの姿を垣間見 るにつけ、図書室はやがて訪れる年長者の世界への高い障壁の象徴となりました。 しかし、この頃から通学の電車内で文庫本などを手にするようになります。「図 書室」が象徴するような何かに、秘かな挑みを始めたのかもしれません。高校2 年生の半ばの或る日、とある調べ物にあたり、普段から馬鹿話ばかりしていたは ずの友人が事も無げに、図書室へと私を拉致しました。入室の手順も立ち振る舞 いも分からない、それを悟られないよう平静を装いました。するとどうでしょう。 本棚を巡るうちに、多くの未知の世界との出会いに導かれることとなったのです。 図書室とは静粛にして無用の者は近づかざるべき場と理解していた私にとって、 まさか図書室が襟を開いて「話しかけてくる」とは思いもよらないことでした。 さらに、追い討ちをかけるように彼は、当時、高校の南隣にあった府立図書館に 自習に行くと言います。唖然とする私はただただ追随したのですが、間もなく常 連となり、その後は自習とは名ばかりで、高校卒業までの間、そこで多くの他校 の友人を得、また、自習机から離れて館内を散歩しては様々な書に出会いながら 脇道にそれ、図書館を訪れる様々な人々を観察する日々を送りました。京都府立 医科大学に入学後の時間だけがあったあの頃、日々を謳歌しながら、医師となる 日に近づいていくためには、先輩や同輩と出会え、専門書が並ぶ図書館が最適空 間であることを既に知っていた私に躊躇はありませんでした。そして、ふと手に した専門書で生命や疾患の深淵に触れることとなりました。医師となり、医学論 文を必要とするようになると、いかに短時間で欲しい情報を多く入手できるか、 図書館の機能は一変しました。留学はメルボルン。研究所で独りになりたいとき、 図書館だけがそれを許される場所となりました。  インターネット全盛の即時型情報の量産時代にあって、情報は内容のみならず 存在そのものが軽質化してしまっているように感じます。図書館に求められる情 報発信源としての機能も大きく変化しているのでしょう。しかし、文化や科学に は新しさや速さに関わらない不変で普遍な原理と真理があります。図書館にはそ うしたものを伝承すべく、威厳と寛容のなかに、良質な蔵書を通じて学びと思想、 知識の深化の機会を何人(なんびと)にも心安く与え、私たちの生長を庇護して くれる場であり続けていただきたいです。 ※過去の教員コラムはこちらhttp://www.kpu-m.ac.jp/k/library/sougouannai/mailnews.htmlから ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】--- 引用文献データベース「Web of Science」アンケートにご協力ください ……………………………………………………………………………………………… 10月からスタートした引用文献データベース「Web of Science」http://webofscience.com のトライアルが 11月30日(木)に終了します。    導入中の引用文献データベース「Scopus」と使い比べて、ぜひアンケートhttps://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeN2WIP9PFdm3xAOovgkB7r_PL6O0Ezqczg80odlqpZ37wTJQ/viewform  にご回答ください。 ■回答期限:12/3(日)  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】--- 「FindFullText京都府立医科大学」アイコンがパワーアップ        〜ハイブリッド誌のOA論文 にもリンク! ……………………………………………………………………………………………… PubMed京都府立医科大学専用入口やScopus などの検索結果に表示される 「FindFullText 京都府立医科大学」アイコン。 一部 WAYFless設定によってシボレス認証の手順が、よりスムーズになっている ことをご紹介しましたが、他にも便利な機能が充実しています。 このアイコンを経由すると、以下の出版社のハイブリッド誌オープンアクセス(OA) 論文へのリンクが可能になりました。 ・Elsevier ・Springer 例えば本学で購読していない有料のジャーナルにOA論文が混じっていると・・・ A simulation of the NiO/Ag interface with point defects Acta Metallurgica et Materialia [0956-7151] Duffy,DM 1995 Vol.43No.4 1559p -1568p Pergamon Elmsford, N.Y. http://sfx2.usaco.co.jp/kpum?ctx_enc=info%3Aofi%2Fenc%3AUTF-8&ctx_id=10_1&ctx_tim=2016-12-14T17%3A17%3A31JST&ctx_ver=Z39.88-2004&rfr_id=info%3Asid%2Fsfxit.com%3Acitation&rft.genre=article&rft_id=info%3Adoi%2F10.1016%2F0956-7151(94)00349-M&rft_val_fmt=info%3Aofi%2Ffmt%3Akev%3Amtx%3Aarticle&sfx.title_search=contains&url_ctx_fmt=info%3Aofi%2Ffmt%3Akev%3Amtx%3Actx&url_ver=Z39.88-2004 のように、対象出版社であれば都度OA論文か否か問い合わせを行い、無料公開 であればリンクして表示する機能です。 今後も可能な出版社ごとに設定をします。 パワーアップしている「FindFullText京都府立医科大学」アイコン、どうぞご活用ください! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [Book Review] ……………………………………………………………………………………………… 鈴木三蔵『図解 空襲と救護』(三重出版社, 1944)  この秋、蔵書点検を行うため、図書館地下にある電動書架の上層にこもった。 ここには大正〜昭和51年に受入れた古い図書を配架している。たまたま私が担当 したのは軍陣医学の分野。戦争に関する生々しい書籍が息づいている。  この本の序には『日本軍の強さは敵前三十米にある。一億一丸となってこの烈々 たる気魂を昂揚し・・・』などと書いてある。内容は空襲に襲われた際の創傷、骨折、 火傷、溺水、毒ガス等に対応する止血法、三角巾の使用法、人工呼吸法、傷者運 搬法などの図解と説明である。物資の少ない中、雨戸や湯たんぽ、副木を使い 懸命に命を救おうとする切迫した絵図に、空襲の恐ろしさ、悲惨さを改めて感じる。  ・・・と書きつつ、実際のところ、蔵書点検をしながら釘付けになったのは、治療 されている兵隊さんのふんどし姿だったのは、ここだけの話である。 (地下電動書架上層 35||S) (C.H.) KPUM Library Booklog:http://booklog.jp/users/kpumlib    ブクログにこの本の登録はありません ………………………………………………………………………………………………  図書館メールNews  第349号 2017.11.24発行(隔週金曜日発行)      編集・発行 : 京都府立医科大学附属図書館              library@koto.kpu-m.ac.jp              http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/     ………………………………………………………………………      (図書館メールNewsのバックナンバーはこちらから↓) http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/sougouannai/mailnews.html