図書館メールNews 第316号………………>>>>>2016.8.19発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  目次 ……………………………………………………………………………………………… 【1】---教員コラム第10弾 第3回「私にとっての附属図書館」       細胞分子機能病理学 / 田中 秀央 先生 ……………………………………………………………………………………………… 【2】--- 図書館でクールシェアのススメ ……………………………………………………………………………………………… 【3】--- どこでも図書館!シボレス認証(学認)のご紹介               〜 「シボレス」と「学認」について 〜 ……………………………………………………………………………………………… 【4】--- 平成28年度第1回企画展示 <原書を読もう!>展 あと10日 ……………………………………………………………………………………………… [ Book Review ]・・・編集後記にかえて ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】---教員コラム第10弾 第3回「私にとっての附属図書館」       細胞分子機能病理学 / 田中 秀央 先生 ………………………………………………………………………………………………    学生時代を含めると約30年間、本学附属図書館(以下、図書館)にお世話にな ってきた。学部生の頃は図書館に足を運ぶことは殆どなかったが、当時の図書館 棟が放っていた威容は私に医学を学ぶ意欲を促してくれた。研修医の頃から医学 雑誌に親しむようになり、よく図書館を利用した。当時の館内は黒ずんだ板張り の床で今と比べてずっと狭かったが、伝統を感じさせる雰囲気があった。閲覧室 には約2メートル四方の木製の机が置かれ、そこでいつも誰かが分厚いIndex Medicusを開いて文献検索していた。「昭和24年4月」と記されたその机は今、私 の教室でミーティングの場として利用されている。臨床研修の後、実験研究に従 事するようになり、図書館は私にとって無くてはならない情報収集の場となった。 その後、河原町通を隔てた西側に図書館は移った。少々行き来は不便になったが、 閲覧室も書庫も広くなり、足繁く通ったものである。新しい館内の書棚には和洋 雑誌の最新号が揃えられていた。そこで自分の研究に関連する雑誌を手に取って 閲覧するのが習慣になった。当時はタイトルやキーワードを手掛かりにした論文 検索が難しく、図や写真から面白いものを拾い上げるなど、探検を楽しむかのよ うな検索をしていた。インターネットによる検索と比べるとずっと効率は悪かっ たが、印刷紙の匂いや手触りを感じながら頁をめくっていて興味深い論文に出会 ったとき、その喜びは格別であった。著者の発見の場に居合わせたような高揚感 をよく覚えたものである。このように“泥臭く”論文を検索・閲覧していると、 次第に自分の研究領域以外の研究論文にも興味が湧き、視野を拡げることができ た。そんな“寄り道”が私を今の環境に導いてくれたようにも思う。  今では目的に叶った論文をインターネットでいつでもどこでも容易に検索・閲 覧でき、デジタルデータとして簡単に入手できる。これに伴って冊子体の新刊雑 誌が次第に減り、図書館に足を運ぶことが少なくなってきた。図書館の在り方は 大きく変わり、医学情報を保管するバーチャルなデジタル空間になってきたよう にも思える。しかしアナログ的な場としての役割は今も変わるものではない。研 究に行き詰まった時などに足を運ぶと、図書館は救いの手を差し延べてくれる。 地下の書庫に身を置いて古書の書棚から歴史的な論文を気ままに閲覧していると、 意外なヒントが得られたり視点が変わったりして問題解決に繋がることがある。  図書館ではこれから益々デジタルアーカイブ化が進められるだろう。しかしア ナログ的な空間はいつまでも残しておいてほしいと思っている。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】--- 図書館でクールシェアのススメ ………………………………………………………………………………………………  教員コラムでも触れていただきましたが、図書館は"アナログ的な場としての役 割”=空間を提供しています。    6人掛けの広くどっしりした机や個人閲覧用キャレルなど、いくつかのタイプの 机を用意しています。  また個人閲覧室は集中して勉強したい方にオススメです。利用できるのは教職 員と大学院生です。学部生は利用できませんが、医学科5、6年生は空き状況によ り、便宜を図っています。   [個人閲覧室 申込み方法]  1.個人閲覧室利用許可申請書 に記入の上、図書館カウンターに提出してください。  2.カウンターで鍵をお渡しします。  ※予約は来月分まで受付けます。  ※連続して5日間まで使用することが可能です。  図書館は大学敷地内にあるので、kpum-airやLANケーブルを通じて、契約中のデ ータベースや電子ジャーナルを最大限にご利用いただけます。  お盆は過ぎましたがまだまだ暑い日が続いています。涼をシェアしつつ、図書 館の静かな環境で、時には専門分野以外の資料にも目を通してみませんか? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】---どこでも図書館!シボレス認証(学認)のご紹介           〜 「シボレス」と「学認」について〜 ……………………………………………………………………………………………… 〜ご自宅や出先から、大学の契約電子コンテンツに、簡単アクセス〜 今回は「シボレス認証」と「学認」の用語について、解説します。 Q.シボレス認証とは? A.ご自宅や出張先など学内外から一度ログインするだけで、大学が契約している  複数の電子ジャーナル等に自由にアクセスできる仕組みです。 Q.学認とは? A.シボレス認証を運用する国ごとに、フェデレーションと呼ばれる、利用機関や  出版社の連合体を設置しています。  アメリカ合衆国=InCommon、ドイツ=DFN-AAI、中国=CARSIなどありますが  日本では「学術認証フェデレーション」を設置し、「学認〈GakuNin〉」とい  う愛称で呼んでいます。 ⇒シボレス認証を使ってアクセスする場合、まずは『学認』を選択し、  『京都府立医科大学』を選択、その後学内メールにより個人認証を行ってください。 Q.学認を使うメリットは? A.その1 ID/PWは学内メールと共通   その2 IDを入力するのは1回だけ(シングルサインオン)   その3 学内外、国内外問わず使える   その4 特別なソフト(VPN等)は不要 おまけ シボレス=Shibbolethという言葉は、そもそも旧約聖書に由来しています。 本来はヘブライ語で「川」という意味ですが、敵を見分けるために渡し場で使われた 合言葉です。 "sh"の発音がないエフライム人は「シボレト」と発音し、「シイボレト」と発音する キレアド人にその場で殺されてしまったとか。 今では「合言葉」「符丁」の意味で用いられるようになりました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】--- 平成28年度第1回企画展示 <原書を読もう!>展 あと10日 ……………………………………………………………………………………………… ■期間:平成28年7月19日(火)〜8月31日(水) ■場所:附属図書館1階 特設展示コーナー 医学の原書本と翻訳本を中心とした展示が、あと10日余りとなりました。 出展図書はすべて貸出可。どうぞ足を運んでみてください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [Book Review] ……………………………………………………………………………………………… 「エディプスの恋人」(1977 筒井康隆 著)  今から40年以上昔、私が中学生だった頃によく読んだ、筒井康隆氏の図書が 本学の附属図書館に1冊だけ所蔵されている。 40数年ぶりに本を手にし、前回と同様、むさぼるようにして読んだ。 そして、当時以上に強烈な衝撃を受けたのが本書「エディプスの恋人」である。  ある女性が突然、失踪し、数ヶ月後、宇宙の秩序を司る超絶対者、すなわち 「神」となって夫の元に気配を表す。  神が夢のなかで夫と交わす意思疎通から、次第に神とわが子の真実が明かさ れていく。  エディプスコンプレックスの強いわが息子。  危険な目に遭うたび、超自然現象を起こし、わが子を救う母。わが子に危害 を与えようとする人間を虫けらのように殺戮していく神としての母。  わが子のために、死者を生き返らせてまで用意した恋人。そしてその恋人に 対する神からの激しい裏切り。  40年以上昔に、このような奇想天外な発想を持っていたSF作家の筒井氏 は、まさしく奇才にほかならないと私は考える。 (地下電動上層 913.6/T)(H.Y.) KPUM Library Booklog:http://booklog.jp/users/kpumlib    この本のページ:http://booklog.jp/item/1/4103145064 ………………………………………………………………………………………………  図書館メールNews  第316号 2016.8.19発行(隔週金曜日発行)      編集・発行 : 京都府立医科大学附属図書館              library@koto.kpu-m.ac.jp              http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/     ………………………………………………………………………      (図書館メールNewsのバックナンバーはこちらから↓) http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/sougouannai/mailnews.html ………………………………………………………………………………………………