図書館メールNews 第209号………………>>>>>2012.6.21 発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  目次 ……………………………………………………………………………………………… 【1】--- コラム第6弾! 第1回 「岸田るり子の世界」/                        免疫学教室 松田 修先生 ……………………………………………………………………………………………… 【2】--- 医学文献検索サービス『メディカルオンライン』トライアル中! ……………………………………………………………………………………………… 【3】--- 平成24年度第1回企画展示<拝見!大先輩のノート>展開催中! ……………………………………………………………………………………………… 【4】--- 臨床支援データベース「UpToDateオンライン版」購読のお知らせ ……………………………………………………………………………………………… 【5】--- 『MedicalFinder』和雑誌34誌のトライアルまもなく終了! ……………………………………………………………………………………………… 【6】--- RSCジャーナル44誌トライアル中! ……………………………………………………………………………………………… 【7】--- 教室費で相互貸借(学外からの文献取寄せ・本の借用)の支払いができます! ……………………………………………………………………………………………… 【8】--- 「AVルーム」の土曜日使用が可能になりました ……………………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………………… [ Book Review ]・・・編集後記にかえて ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】 コラム第6弾! 第1回 「岸田るり子の世界」/                        免疫学教室 松田 修先生 ………………………………………………………………………………………………  知り合いに作家がいる、というのは、たいへんにうれしいものである。しかも  その著書が、強烈に面白い!となれば、そのうれしさは格別である。  私の研究室の先々代の教授、岸田綱太郎先生は、インターフェロン研究で著名  な、本学が誇る偉大な医学者であられたが、そのご息女である岸田るり子氏は、  ミステリー作家としてご活躍中である。氏の作家としてのキャリアは、2004年、  本邦ミステリー界の登竜門である鮎川哲也賞に、第一作『密室の鎮魂歌(レク  イエム)』が輝いた瞬間に始まった。それまで私は、るり子さんが小説を書い  ておられるとはつゆ知らず、この受賞のこと、さらにこの作品が大手の出版社  から単行本として出版されると伺った時、驚くと同時に胸躍った気持ちは今で  も忘れられない。  ミステリー小説の醍醐味は「謎解き」にある。「犯人」がさまざまな「トリッ  ク」を使って「登場人物」たちを欺くが、「名探偵」がみごとな推理でそれら  を見破り、犯人を当てるという、お決まりのパターンに、無数のバリエーショ  ンがあり、読者を楽しませる。しかし岸田るり子氏の仕掛ける「トリック」は、  このような古典的なトリックとは次元が違う。緻密、周到に練られたトリック  に、「登場人物」だけでなく、われわれ「読者」までもが完全に翻弄されるの  である。岸田るり子作品を読むと、氏が仕掛けた巧妙な罠にいつの間にか掛か  ってしまう。そして読み終えた瞬間、騙されていたことに始めて気づき、驚嘆  し茫然とする。コペルニクス的転回。そして思わずページを繰りなおしては伏  線を発見し、再び痛快な知的興奮の余韻に浸るのである。おそらく作者は、そ  んな読者を想像しては、陰で嗤っているのであろう。  岸田るり子作品のさらなる特色は、氏が描く生々しい人物像と異様な人間関係、  彼らの心理の闇の怪異な形相にあるといえよう。氏の世界には、単純で見た目  どおりの人間や、性善説的な善人は存在しない。人々がもつ強欲、執着、嫉心、  怨恨、憎悪、偏愛、溺愛、盲愛がどろどろと入り混じり、そこかしこで異様な  化学反応を起こして毒ガスを噴出しているような、独特な心理宇宙。しかし不  思議なことに、最後まで読み終えた時、いつしか読者は、人の心の美しさに涙  し、爽やかな読後感に酔いしれている自分を発見するのである。氏の作品は、  ミステリーである以上に、人の心の光と影を鋭く切り取った、優れた「文学」  であると私は思う。  私の個人的な好みでは、『天使の眠り』と『めぐり会い』が、最高傑作である。  次いで『密室の鎮魂歌』、『Fの悲劇』と『白椿はなぜ散った』が素晴らしい作  品だと思う。紙面の都合で個々の作品に対するコメントは控えるが、すでに多く  が文庫本でも出版されている。書店に行くと、つい探してしまう。先日も日本橋  の丸善に立ち寄った際、何冊も陳列してあるのを発見し、思わず笑みをこぼして  しまった。着実に大作家への道を登っていかれるのを見るのは喜ばしい限りであ  る。  自然科学者の業なのか、ミステリーに限らず小説というものを、長らくほとんど  読んでいなかった私である。最近読んだ本と言えば、医学・生物学の関連を除け  ば新書や歴史、文明論などのノンフィクションばかりである。岸田るり子作品に  出会わなければ、文学という、人類の作り出した偉大なる文化を忘れ去ってしま  っていたかもしれない。みなさんも、忙しさの中に時間を捻出して、いや忙しい  からこそ、岸田るり子作品でひとときの心の洗濯をされてはいかがでしょうか。  パリ第七大学の理学部を卒業(専攻は生化学)された岸田るり子氏の作品には、  しばしば医学研究者が登場し、またそこかしこにフランスの香りが漂ってもいる。  さらに、必ずと言ってよいほど京都が舞台となっている。府立医大とフランスを  愛した岸田名誉教授の面影を感じるのは私だけではないだろう。府立医大に縁の  ある気鋭の小説家として、本学関係者にはぜひ知っておいていただきたく、この  機会に紹介させていただいた。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】 医学文献検索サービス『メディカルオンライン』トライアル中! ………………………………………………………………………………………………   『メディカルオンライン』では国内の医学系電子ジャーナル(900タイトル以上) のアブストラクト閲覧および文献PDFの提供をしています。(FAXサービスは 対象外です)   医学・歯学・薬学・看護学・栄養学・医療技術系の幅広い分野を収録。   データベース「くすり」や「プロダクト(医療関連製品)」にもアクセスできます。   購入を前提としたものではありませんが、この機会に是非お試しください。    ◆アクセス先: http://www.medicalonline.jp     ◆提供期間:2012年6月18日から8月17日まで(2か月間) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】 平成24年度第1回企画展示 <拝見!大先輩のノート>展開催中! ………………………………………………………………………………………………   附属図書館では、明治期の本学の講義録を多数保管しています。  通常、貴重書庫内にあって目にすることのないこれらの資料のなかから、  今回は本学の前々身である「京都府医学校」時代(明治13-36年)の講義録  22点を特別に展観しています。  当時の偉大な先生方の講義と、本学学生のひたむきに学ぶ姿を彷彿とさせる  講義録ばかりです。 この機会にぜひご覧ください。まもなく終了です。 ▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪ ◆ 期間:平成24年6月1日(金)~6月28日(木)        ◆ 場所:附属図書館1階 特設展示コーナー    ◆ ↓チラシのURLはこちらです↓ http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/library/exhibition/flier-viewgreatseniorsnote.pdf        ▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪                           ☆ 貴重書のため貸出不可。閲覧は可能ですので、カウンターにお申し出   ください。                            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】 臨床支援データベース「 UpToDateオンライン版 」購読のお知らせ ………………………………………………………………………………………………   「UpToDateオンライン版」の購読が決定しましたので、今年度は引き続き 利用することができます。 ◆ 提供サイト:http://www.uptodate.com/online/     ◆ 図書館ホームページの「情報・文献検索」からもリンクしています   ★ UpToDateは、医師が患者診療に際して抱く疑問への回答を提供し、    意思決定をサポートする診療情報サービスです。    常に更新される臨床現場の教科書として認知されており、世界60万    名の医師が利用しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【5】『 MedicalFinder 』和雑誌34誌のトライアルまもなく終了! ………………………………………………………………………………………………   医学書院提供の電子ジャーナルサイト『MedicalFinder』のトライアルが 6月30日までできます。   「呼吸と循環」「精神看護」など、医学・看護学系34誌の全文が読めます。   最大過去9年分(2003年以降)のバックナンバーから、最新の文献まで網羅。     ┏…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━     ◆提供サイト:https://top.islib.jp/bcs/li/kpu-m/ ◆     ◆提供期間:6月1日から30日まで(30日間)     ┗…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【6】 RSCジャーナル44誌トライアル中! ………………………………………………………………………………………………   RSC(Royal Society of Chemistry)発行の化学系ジャーナル44誌に90日間アク  セスできます。(以前より公開中の創刊誌を含みます)    ┏…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━    ◆ 提供サイト:http://www.rsc.org/Publishing/Journals/    ◆   (電子ジャーナル検索窓からもヒットします)    ◆    ◆ 提供期間:7月31日までご利用できます。    ┗…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【7】 教室費で相互貸借(学外からの文献取寄せ・本の借用)の支払いができます! ………………………………………………………………………………………………     2012年4月から、教室費で相互貸借(学外からの文献取寄せと本の借用)に   係る料金の支払いが可能になりました。   図書館で文献(現物借用の場合は本)を受け取る際に、教室費で支払う旨をお知ら  せいただくと、図書館では現金を受領せず、教室費からの引き落としになります。   なお、教室費支払いには教室の了承が必要です。教室費から支払えないと判明し  た場合は、図書館で現金での支払いをお願いします。  ※一旦現金で代金を支払われた場合には返金しませんのでご了承ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【8】 AVルームの土曜日使用が可能になりました ………………………………………………………………………………………………   2012年4月から、土曜日にAVルームの使用が可能です。   図書館ホールを使用しない場合でも、AVルーム単独で土曜日に使用できます。  注意点  1)土曜日は図書館職員が少ないため、機器接続のサポートができません。    事前に下見をして方法を確認しておいてください。  2)AVルームと同じフロアにある図書館ホールを別の団体等が使用する際には    受付の場所など共有部分の使い方を予約者同士で協議していただく場合が    あります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ………………………………………………………………………………………………   [Book Review]・・・「病から古代を解く:『大同類聚方』探索」 槇佐知子                                                 平安初期の医学書「大同類聚方[(499.8/M)地下電動上層]」を訳した著者が  記紀等にある病や医療行為について解説している。日本古来の医方を集めてい  るせいか神話の神々の処方が多い。因幡の白兎を治した話や火傷を負った大国  主を貝の女神が助ける話は医療行為の神話化だった!と気付いた。ただ残念な  ことに「大同類聚方」は偽書説もある。真偽は兎も角医療と結びつけた著者の  神話解釈は面白い。 2F閲覧室にあります!(490.21 / M)  (A.N.) http://booklog.jp/users/kpumlib(トップページ) http://booklog.jp/item/1/4787700030(この本のページ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ………………………………………………………………………………………………  図書館メールNews  第209号 2012.6.21 発行(隔週木曜日発行)  編集・発行 : 京都府立医科大学附属図書館          library@koto.kpu-m.ac.jp          http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/library/          ………………………………………………………………………       (図書館メールNewsのバックナンバーはこちらから↓) http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/library/mailnews/index.html ………………………………………………………………………………………………