図書館メールNews 第165号 ……………………>>>>>2010.10.14発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  目次 ……………………………………………………………………………………………… 【1】--- コラム第4弾! 第5回「「癒し」とこころ」           / 病理学教室(分子病態病理学部門) 伏木 信次先生 ……………………………………………………………………………………………… 【2】--- 「PubMedの使い方」講習会の御案内! ……………………………………………………………………………………………… 【3】--- 「インパクトファクターを調べよう」講習会の御案内! ……………………………………………………………………………………………… 【4】--- 【医学中央雑誌Web版】のリモートアクセス開始! ……………………………………………………………………………………………… 【5】--- 【Procedures CONSULT】トライアル中です! ……………………………………………………………………………………………… 【6】--- 【Thieme電子ジャーナルパッケージ】をトライアル提供しています。 ……………………………………………………………………………………………… 【7】--- 【新プラットフォームSciVerse(サイバース)】の御案内 ……………………………………………………………………………………………… 【8】--- 図書館内での無線LAN提供開始しました! ……………………………………………………………………………………………… ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】  コラム第4弾! 第5回「「癒し」とこころ」           / 病理学教室(分子病態病理学部門) 伏木 信次先生 ……………………………………………………………………………………………… 街を歩くと、近頃は「癒しの空間」とか「癒しサロン」とかの看板をよく見  かける。このことはとりもなおさず、現代が「癒し」を求める時代であること  を示している。果たして「癒し」とは現代に特有のものなのであろうか。   最近私は、中世の人々の生活や歴史に関心を抱き、書籍を繙くことが多い。  その学びを通してわかることは、中世の人々は、支配者階級であろうと庶民で  あろうと、『大変な時代』(堺屋太一氏の著作の題名)を生きていたというこ  とである。そこではたとえ経済的に恵まれていた人々であっても疫病に代表さ  れるような災厄を避けることなどできず、それらを怨霊の祟りとして僧侶に祈  祷を請うたり怨霊を鎮めるべく神社を建立したりするしかなす術がなかった。  このような状況の中で浄土思想が多くの人々に受容されるに至った。いかんと  もしがたい現実の中に置かれた人々は、彼岸にいわば「癒し」を求めたのでは  なかったか。   ところで浄土思想の起源は中国浄土教にあるが、その思想は、法然、親鸞へ  と続く流れの中で次第に研ぎ澄まされ専修念仏の教えとして結実した。しかし  ながら法然や親鸞はその思想ゆえに当時の仏教界や政府から攻撃され、ついに  は流罪となった。その原因は 、「善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。」  (『歎異抄』第三条)という言葉で知られる悪人正機の思想にある。つまり、  「善人ですら極楽浄土へ行くことができる。まして悪人が極楽浄土へ行くのは当  然ではないか。」という思想は、修行や善行を否定するのみならず悪行をむしろ  勧める危険な思想とみなされたのである。   さて親鸞の思想を学ぶうえで必須の書籍は言うまでもなく彼自身の主著『教行  信証』であるが極めて難解で取っ付き難い。他方『歎異抄』は、弟子の唯円が親  鸞の語った言葉をまとめたものゆえ大変読みやすく、名文との評価も高い(ちな  みに、『歎異抄』の現代語訳が複数出版されているが、原文音読によってこそ、  その美しさを感じ取ることができる)。『歎異抄』には、煩悩や自己の内面に潜  む虚偽に対する冷徹な洞察が随所にみとめられ親鸞の思想を特徴づけているよう  に思われる。しかしこの書物は、人目に触れることなく永く本願寺の書庫に蔵さ  れていて江戸時代中頃になってようやく宗門の学者によって注目されるようにな  った曰く付きのものである。その理由は親鸞の言葉に秘められた革新性・先鋭性  にこそあり、より明確に言えば、教団を設立し維持することなど親鸞は決して求  めていなかったことに真宗教団成立後の支配層が気付いていたからであろう。真  宗教団中興の祖とされる蓮如が『歎異抄』奥書に「この聖なる書は・・・むやみ  に見せてはいけない。」としたためていることがその何よりの証左と考えられる。   翻って、現代に生きる私たちは一体どのような背景の中で「癒し」を求めてい  るのか。地球規模の環境問題(地球温暖化、化学物質汚染等)や格差問題は、解  決する方策など容易には見出せないという意味において中世における貧困や疫病  の問題と相通ずる。言い換えれば、今日の「癒し」ブームは人々の諦めの現れと  も言えるのかもしれない。   それでは「癒し」の対象は何か。疲れた「からだ」の「癒し」もあれば、乾い  た「こころ」の「癒し」もあるにちがいない。多くの人々はおそらく「こころ」  の癒しをこそ求めているのではなかろうか。「こころを大切に」という表現がし  ばしば用いられるように、人間としての社会生活を営むうえで「こころ」を重視  することに誰しも異論はなかろう。しかしここでは、鴨長明が『発心集』の序に  おいて述べた、「心の師とは成るとも、心を師とする事なかれ」という言葉に目  を留めておきたい。これは親鸞の思想と通底するのではないかと考えている。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】 「PubMedの使い方」講習会の御案内! ………………………………………………………………………………………………   昨年秋に大きな変更があったPubMedについて、その後の最近の変更点も含め、  説明します。PubMedからSFXへのリンク、MyNCBIについても解説します。  少人数の場合、個別の疑問にも回答します。   18:00から図書館ホールで開催される感染対策研修会とセットで受講し  ていただくことが可能になりました。   ぜひ感染対策研修会の前に、PubMed講習会にお越しください!   ◆日時: 平成22年10月22日(金)17:00~18:00  ◆場所: 図書館2階AVルーム  ◆申込: 不要     *9月30日発行 メールNews の御案内と開催時間が変わりました。     御注意ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】 「インパクトファクターを調べよう」講習会の御案内! ………………………………………………………………………………………………   図書館では、JCR Webの講習会を企画しました。   JCRについて全く知らない方や、業績集作成時にインパクトファクターを調べ  る必要がある方、論文を投稿する雑誌を検討する際に様々な指標を参考にしたい  方などに、お勧めします。是非御参加ください。   ◇ 日時: 平成22年11月4日(木)18:00~19:00   ◇ 場所: 図書館2階AVルーム   ◇ 申込: 不要 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】 【医学中央雑誌Web版】のリモートアクセス開始! ……………………………………………………………………………………………… 10月から、医学中央雑誌Web版が遠隔地からも御利用いただけます。 アクセス先→ http://login.jamas.or.jp/ アクセスのためのID/パスワードはパスワード一覧表 (http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/OJ/OJpassword.pdf)に掲載しています。 画面を開くためのパスワードは、図書館(libej@koto.kpu-m.ac.jp) までお問い 合わせください。 *御利用は京都府立医科大学学籍者に限ります。 *同時アクセス数に限りがありますので、利用の際は必ずログアウトにて終 了をお願いします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【5】 【Procedures CONSULT】トライアル中です! ………………………………………………………………………………………………   ハーバード大など米国病院監修の臨床手技リファレンス・ソリューションを  元に日本版として制作したElsevier提供のデータベースです。   事前準備から実際の手順、手技後のケアまでをビデオやアニメーション、テキ  ストで提供しています。   ■アクセス先→http://www.proceduresconsult.jp/   ■トライアル期間→2010年12月31日まで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【6】 【Thieme電子ジャーナルパッケージ】をトライアル提供しています。 ………………………………………………………………………………………………   ■提供タイトル 医学系32誌、薬学系5誌           (Seminarsシリーズ・Eur J Pedeatr Surgなど)   ■アクセス先 http://www.thieme-connect.com/ejournals   ■トライアル期間 2010年11月30日まで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【7】 【新プラットフォームSciVerse(サイバース)】の御案内 ……………………………………………………………………………………………… Elsevier社のフルテキストデータベース(ScienceDirect)、書誌・引用データ ベース(Scopus)、ウェブ情報を統合して提供する新プラットフォームSciVerse (サイバース)がリリースされました。 一方の製品にログインすると、他方の製品に自動的にログインされ、重複情報 が除去された統合検索が可能になります。さらに、研究者独自のニーズを満たす アプリケーションも提供しています。 アクセス先→http://www.hub.sciverse.com 新プラットフォームの詳細はこちらから。 → http://japan.elsevier.com/products/sciverse/sciverse_release_201008.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【8】 図書館内での無線LAN提供開始しました! ………………………………………………………………………………………………   図書館で、無線LANが使えるようになりました。本学のメールアカウントを  利用して、ノートPC、iPhone、iPad 等で無線LANを利用していただけます。    設置場所: 図書館1階・2階    接続方式: WPA2 エンタープライズ方式(802.1X認証)   設定に関する詳細は、以下のコンピュータ室のホームページを御覧ください。   http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/comproom/how_to/other/802.1x/musen-lan.html  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ………………………………………………………………………………………………  図書館メールNews  第165号   2010.10.14 発行(隔週木曜日発行)  編集・発行 : 京都府立医科大学附属図書館          library@koto.kpu-m.ac.jp          http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/library/          ………………………………………………………………………       (図書館メールNewsのバックナンバーはこちらから↓) http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/library/mailnews/index.html ………………………………………………………………………………………………