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概要

News&Views vol.2 Mar, 2015

Point of Viewがん医療についてCancer Research & Treatment患者・社会と協働するがん研究を推進小児がん拠点病院■小児医療センター京都府立医科大学附属病院は、平成25年に厚生労働省より小児がん拠点病院に指定されました。小児がん拠点病院に申請のあった全国37施設のうち、9人の評価者が総合的に採点し、全国15施設中、第2位で選定されました。要件は小児がん診療、集学的治療、難治再発症例と思春期がんへの対応、集約化と地域連携、緩和ケア、小児がん研修教育、臨床研究、患者の養育環境、がん相談支援、長期フォローアップなど多岐にわたり、全てに高得点の評価を頂きました。小児がん拠点病院としての研究と役割小児科学教室教授?細井創共同研究で最善の治療法を当院では、全国の小児がん疾患の専門施設と連携して多施設共同研究(臨床試験)に参加し、診療実績をあげております。3人に2人がなるというような”common disease”としての成人がんとは異なり、10,000人のこどもあたり約1人にしか発生しない(それでも、わが国では年間2,000~2,500人発生する)希少疾患の小児がんでは、施設ごとに異なる治療を行っていたのでは、どの治療がより良い治療なのか科学的に証明できないため、診断や治療を一定の基準で統一し、同じ治療を全国で行い、症例のデータを集積し、過去の治療成績と比較したり、2種類の治療を無作為に割り付け、比較検討したりすることで、その疾患の治療成績や問題点、改善点を科学的に調査し、新しい、より良い治療法を開発していきます。このような取り組みが多施設共同研究です。当院で登録可能な臨床多施設共同研究の臨床試験には、神経芽腫、横紋筋肉腫、肝芽腫、腎芽腫、白血病を代表とする様々な造血器腫瘍、その他様々な難治性がんなどがあり、そのほとんどで、研究グループ代表や、主任研究者、研究組織委員長や委員を務めています。難治性小児がんへの挑戦また、現在の医療ではまだ治癒させることができないような難治性小児がんに対しても、新規の診断方法、治療方法を開発すべく、さまざまな基礎研究を行っています。京都府立医科大学小児科腫瘍・血液グループでは、多くの小児固形腫瘍の中でも、神経芽腫、横紋筋肉腫、悪性ラブドイド腫瘍に対する基礎研究を以前より盛んに行ってきました。また造血器腫瘍の分野では、急性リンパ性白血病の遺伝子および予後因子解析と治療標的の探索や、急性骨髄性白血病の分化障害の機序の解明・その解除による治療可能性の検討について研究を進めています。多面的に小児がんを研究基礎研究結果をダイレクトに臨床現場に応用するトランスレーショナル・リサーチについては、血液中に放出された腫瘍細胞からのDNAを利用して、手術する前に血液検査で神経芽腫の遺伝子検査を行い、予後を診断し、最良・最少必要限の治療を行う治療法の確立や、血液中に放出された腫瘍由来micro RNAを利用した横紋筋肉腫の診断法の確立などの研究成果を発表しています。疫学研究については、横紋筋肉腫患者の全国調査を行い、我が国の患者数や治療成績を判明させたり、神経芽腫患者登録の解析から我が国のマス・スクリーニングの死亡率の低下を証明したり、全国神経芽腫患者登録の解析から、予後がよいと言われている乳児例にも予後不良の遺伝子異常マーカーであるMYCN増幅例が存在することを証明したり、神経芽腫患者登録の解析から乳児期以降の病期4sも6