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概要

News&Views vol.2 Mar, 2015

ResearchViewsTop Research Top Research Top Research在宅医療における患者評価のための新規デバイス、新規システムの開発研究在宅チーム医療推進学教授山脇正永J-MICC研究京都フィールド地域保健医療疫学教授渡邊能行高齢者の地域生活を健康時から認知症に至るまで途切れなくサポートする法学、工学、医学を統合した社会技術開発拠点精神機能病態学成本迅准教授今後の我が国では、家庭及び在宅での医療・介護のニーズが増大することが予想されている。しかし、患者さんとそのご家族の生活の場である家庭での種々のパフォーマンス(移動、食事、運動、睡眠など)の評価は、病院・施設で行う検査結果としばしば解離し、正確に評価することが困難であった。当研究室では、在宅における個別の患者さんの日常生活動作の状態を簡易に把握するための新規デバイスおよび新規システムの開発を行うと共に、在宅における患者のリスク・マネージメント手法の開発・研究を行っている。デバイス研究としては、画像処理を用いた種々の日常生活動作の分析装置、服薬状況の評価システム、摂食嚥下運動の評価デバイス、日常生活における認知機能・注意力評価システム、生活動作の時間分析システム、GIS(geographic informationsystem)を組み合わせた屋外も含む行動分析システム等の評価デバイス・評価システムを開発している。また、上記の種々のデバイスから抽出されたリスクに対する網羅的なリスク・マネジメント・システムの開発を目指して、医療HAZOP (hazard & operability)法を用いた研究・分析を行っている。J-MICC研究京都フィールドは35~69歳の京都府民を対象としたゲノムコホートで、文部科学省科研費の研究費を得てベースライン調査を実施してきた。2008~2013年度までに約6500人の京都府民に同意をいただいて、血清、血漿、遺伝子等の血液試料と質問票による生活習慣調査情報を収集させていただいた。その後、年に1回対象者に健康情報を記載したニュースレターを送付し、同時にその時点までの健康状態についての報告をいただくことをシステム化して、約80%に回答をいただいている。ベースライン調査時の一部の対象にも実施してきたが、ベースライン調査から5年目には、健診方式で血液検査による胃がんリスク診断、超音波による橈骨骨密度検査、血管年齢・中心血圧検査、体脂肪・筋肉組成測定、インピーダンス法による内臓脂肪測定、歯科医による口腔検査、タッチパネルによる簡易認知機能検査を実施し、対象者に結果をフィードバックしている。行方不明者への住民台帳閲覧も行い、京都地域がん登録や脳卒中登録との記録照合、更には死亡小票の確認まで実施している。最近、これらのデータの横断解析ではあるが、胃がんリスク診断によって将来の胃がんリスクの高い集団で、橈骨骨密度が低下傾向にあることを明らかにし、胃がんリスク診断が、単に胃がん対策だけでなく、骨粗鬆症の予測にも役立つ可能性があることを見出した。本プロジェクトは、文部科学省革新的イノベーション創出プログラム(COI)のトライアル拠点として採択され、2013年11月より活動を開始し、2015年4月からはCOI-S(サテライト)として2022年までの活動を予定している。少子高齢化で激増する高齢者世帯の生活の安寧を、健康時から認知症で判断能力が低下した状態まで途切れなく支える革新的かつ経済的な包括的支援システムを開発するための検討を行っている。具体的には、認知症で意思決定能力が低下した高齢者に対する意思決定支援の仕組みや金融機関における意思決定の支援、在宅や施設入所中の高齢者の早期認知症診断システムの構築などに産学官連携で取り組んでいる。これにより都市部・非都市部に関わらない公平な高齢者向けサービスの充実と雇用の創出、医療費削減、初期認知症対策、介護離職削減を達成し、アジア各国のロールモデルとなることを目指している。13