ブックタイトルNews&Views 創刊号 vol.1 Jan, 2015

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News&Views 創刊号 vol.1 Jan, 2015

世界的に有名な科学雑誌に紹介された研究論文本学では毎年数多くの研究論文が、世界的に認められている価値の高い科学雑誌で紹介されています。2014年に高い評価を得た8つの研究論文の概要と、2つの世界で初めて行われた手術についてご紹介します。Medical research that has been adopted in the famous scientific journals2月糖尿病発症の新規メカニズムの発見【米国科学アカデミー紀要オンライン速報版掲載】2月星野温研修員、的場聖明助教らは、糖尿病モデルマウスを用いて膵臓のβ細胞において、老化因子であるp53がオートファジーによる不良ミトコンドリアの分解処理(マイトファジー)を阻害し、ミトコンドリア機能不全を進行させることが糖尿病の病態に関与していることを明らかにしました。2月がんのリスクとなる大腸ポリープの再発をアスピリンで約40%抑制することを発見【消化器関連ジャーナル誌「GUT」掲載】本学を含めた19施設の共同研究で、大腸がんへ進行する可能性の高い大腸ポリープ(腺腫)を摘除した患者に、既存薬である低用量アスピリン腸溶解錠を2年間投与、311名による無作為化比較試験で再発リスクを検証したところ、40%程度抑制する結果が得られました。2月2月心肥大を制御する情報伝達メカニズムの発見【米国科学アカデミー紀要オンライン速報版掲載】循環器内科学の小形岳寛特任助教、上山知己特任講師らの研究グループは、MURC(マーク)/Cavin(キャビン)-4と呼ばれるカベオラ関連タンパクの1つが心肥大を引き起こすシグナル伝達に深く関わっていることを発見しました。今回の発見は、心肥大シグナル制御に重要な新知見を与えるもので、心筋症の発症機序および病態解明にも寄与すると期待されます。3月3月水疱性角膜症に対する培養ヒト角膜内皮細胞移植を世界で初めて実施視覚機能再生外科学(木下茂教授、上野盛夫助教)は世界で初めて水疱性角膜症に対する培養ヒト角膜内皮細胞移植を実施しました。これは同志社大学生命医科学部(小泉範子教授、奥村直毅助教)、滋賀医科大学動物生命科学研究センター(中村紳一朗准教授)との共同研究による成果です。4月4月筋萎縮性側索硬化症の新治療法開発につながる分子を同定分子脳病態解析学(神経内科学併任)の東裕美子助教、徳田隆彦教授らは、自らが既に開発していた筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態である運動神経(ニューロン)障害を再現しているモデルショウジョウバエを用いて、その運動障害と運動神経細胞の障害(変性)は、オートファジーおよび核細胞質輸送に関与する蛋白質であるVCPの発現量を低下させると悪化し、逆にその発現量を増加させると改善するという関係性を明らかにし、VCPあるいはその活性を調節する因子が、これまでにはなかったALSの根本治療薬となる可能性を示しました。5月脳の発達異常を引き起こす新メカニズムを発見【英専門誌「Development」オンライン版掲載】】神経発生生物学の小野勝彦教授らは、グリア細胞の形成に関わる遺伝子であるOlig2が、脳の形成の初期には前脳のパターン形成を調節し、このパターン化が間脳と大脳皮質をつなぐ神経回路形成に重要であることを明らかにし、未分化な幹細胞から特定の神経系の細胞を作り出すときに、出来上がった神経細胞の機能だけではなく神経回路基板となる細胞まで作り出す可能性を示しました。5月エストロゲンが神経ヒスタミン受容体の発現を制御【PLOS ONE掲載】総合医療医学教育学森浩子助教らは、ラット視床下部腹内側核領域(ventromedial nucleus of the hypothalamus:VMN)における、ヒスタミン受容体(histamine receptor subtype1: H1)の詳細な分布を明らかにし、VMN領域においてH1は、エストロゲン受容体(ERα)の発現分布と一致していることを発見した他、H1の発現量がエストロゲンによって変化することを見出しました。8月重症先天性疾患の新生児に対する世界初の手術に成功極めて治療が困難な重症先天性心疾患を持つ生後28日の女児(体重2,500g)に対して、本学小児医療センターの小児心臓血管外科で世界初の手術(大動脈離断症に対する自己肺動脈移植手術)を世界で初めて適応し、成功しました。11月11月細胞分化と密接に関連する「体内時計の発生メカニズム」を解明【米国科学アカデミー紀要オンライン速報版掲載】統合生理学の八木田和弘教授と梅村康浩助教らは、マウス胚性幹細胞(ES細胞)を用いて細胞分化と密接に関連した体内時計の発生メカニズムを解明しました。研究ではマウスES細胞を用い「細胞分化の制御因子が関わる体内時計発生メカニズム」および「ES細胞で体内時計のリズムが阻害されるメカニズム」を解明するとともに、細胞分化異常によって正常な体内時計が形成されないことを示し、細胞分化と密接に関連する体内時計の発生メカニズムを世界で初めて明らかにしました。強迫症における前頭皮質?線条体回路の異常を解明【PLOS ONE掲載】精神機能病態学の中前貴学内講師らは、強迫症患者と健常者の頭部MRI画像(拡散強調画像)を撮像し、前頭葉と線条体を結ぶ線維をトラクトグラフィーという技術を用いて描出しました。線維の走行や性状を詳細に調べたところ、強迫症患者では健常者と比べて、眼窩前頭皮質と線条体とを結ぶ線維が線条体のより背側に分布し、かつ、構造的結合性の強さの指標となるFractional Anisotropy (FA)値が有意に高いことがわかりました。13