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【論文掲載】世界初、高い生着率の血管付きミニ乳房を再構築~インプラント等に代わる新たな乳房再生医療へ期待~

【研究成果のポイント】
 ◆様々なサイズの血管構造を持ち、血行がみられる脂肪組織ボール(以下、ミニ乳房)を患者の細胞
を用いて世界で初めて構築。小動物への移植実験で高い生着率(移植した組織が術後に機能してい
る割合)を示すことを確認しました。
 ◆これまで乳がん摘出後の乳房再建術では、術後の変位や周囲の組織線維化(硬くなり変形すること)を
予防したシリコン製インプラントが主に使用されていましたが、2019 年7 月、悪性リンパ腫へとの関
連性が疑われたため販売停止となりました。また、患者の脂肪細胞を採取して注入する自家組織再建
術も行われていますが、まだまだ問題があり、患者毎に生着率にバラツキがありました。さらに、移
植にあたっては患者へ大きな負担が生じることが課題でした。
 ◆本研究成果で作製したミニ乳房は機能的な血管構造を有するため、脂肪細胞への栄養と酸素の供給
が可能となり、現在使用されている脂肪細胞注入やインプラントと比べ高い生着率を示しました。
また、ミニ乳房は注射器での移植が可能なため、(体内でミニ乳房同士の集合体を形成)患者への負
担を大きく軽減でき、さらに、独自培養技術により患者の脂肪組織を体外で複製することにより、
自由に移植量や移植時期を調節することも可能になります。したがって本研究成果は、従来の乳房
再建術に代わる新しい乳房再生医療として期待されます。
 
【概要】
大阪大学大学院工学研究科の松崎典弥教授および、凸版印刷株式会社 (先端細胞制御化学(TOPPAN)
共同研究講座※1)のFiona Louis(フィオナ ルイス)特任研究員、京都府立医科大学大学院医学研究科形
成外科の素輪善弘講師の研究グループは、独自の組織工学技術により患者の細胞を用いて機能的な血管構
造を有するミニサイズの乳房の再構築に世界で初めて成功し、小動物への移植実験で高い生着率を示すこ
とを確認しました。
 
【本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)】
本研究成果は、従来の脂肪細胞注入法や販売停止となったインプラントに代わる、高い安全性と生着率
を有する新しい乳房再生医療技術となることが期待され、今後、実用化を目指して研究を進めていきます。
 
【特記事項】
本研究は、JST未来社会創造事業※2で得られた成果を応用して行われました。
本研究の成果は、2020 年3 月12~14 日にパシフィコ横浜で開催される第19 回日本再生医療学会総会にて
発表する予定です。
 
※1 先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座
大阪大学と凸版印刷は、「先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座」を2017 年に設置し、3D 細胞培養
技術に関する基礎研究を同研究科 松崎典弥教授と共同で行っています。
※2 JST未来社会創造事業
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)は、平成29 年度より、社会・産業ニーズを踏まえ、経済・
社会的にインパクトのあるターゲット(出口)を明確に見据えた技術的にチャレンジングな目標を設定し、
実用化が可能かどうか見極められる段階を目指した研究開発を実施する事業として未来社会創造事業を開
始しました。
https://www.jst.go.jp/mirai/jp/index.html
 
【研究における役割】
・大阪大学 大学院工学研究科 松崎 典弥教授
研究統括
・凸版印刷株式会社 (先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座)
大阪大学と共同開発した独自の沈殿培養技術を用いた脂肪組織の作製
・京都府立医科大学 大学院医学研究科 素輪 善弘講師
ヒト脂肪細胞の提供と脂肪組織の移植評価
 
プレスリリース資料はこちら

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