図書館メールNews 第290号………………>>>>>2015. 8. 21発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  目次 ……………………………………………………………………………………………… 【1】--- 教員コラム第9弾! 第4回 「ダブル・キャストって」         病理学教室  分子病態病理学部門 / 伊東 恭子 先生 ……………………………………………………………………………………………… 【2】--- 便利になりました!〜学外からの電子ジャーナル利用〜 ……………………………………………………………………………………………… 【3】--- 松本仁介医学振興基金に、1冊追加しました! ……………………………………………………………………………………………… 【4】--- 平成27年度第2回企画展示 <スポーツを支える医学>展を開催中です ……………………………………………………………………………………………… [ Book Review ]・・・編集後記にかえて ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】--- 教員コラム第9弾! 第4回 「ダブル・キャストって」         病理学教室  分子病態病理学部門 / 伊東 恭子 先生 ……………………………………………………………………………………………… 「読書の楽しみ」という話題は本図書館ニュースでよく取り上げられる。 近畿圏での学会出張や外勤の折には電車を利用することが多いが、電車の中で本 を読んでいる人を見かけることが最近めっきり少なくなってきた。しばしの睡眠 を楽しむ人以外は、ほとんどがスマートフォンをさわっている。メールをしてい るのかゲームをしているのか。そのような人の横に座った私の体験から判断する とゲームをしている方が多い。他方、駅や繁華街の書店に立ち寄ったときに書籍 を買い求める人が沢山おられるのを見るとほっとする。しかし、かく言う私も、 ネット販売で書籍を購入することが増え、幾つかの書店を回って目的の本を探し 求めた一昔前を想い起こすと隔世の感がある。 さて私は小説を文庫本で読むことが好きである。小説は大学での忙しい日常から しばしの間、精神を解放してくれるからである。虚構(非日常)の世界に精神を 遊ばせるあるいは解放する、と言ってよいかもしれない。不思議なもので小説の 舞台となっている実在の町を学会の折などに訪ねると特別な感慨を覚えることが あるので、虚構とばかり言い切ることもできない。また一方で「事実は小説より 奇なり」というバイロンの言葉を、現実の事件を見聞して納得させられることも ある。小説家の想像力をはるかに超えて現実が進行するからである。 最近「南の島に雪が降る」(加東大介著)を読んだ。以前、映画にもなり評判と なったノンフィクションであるのでお読みになった方も多いのではなかろうか。 太平洋戦争時、西部ニューギニアの部隊をめぐる「非日常の中の日常」が、兵士 (衛生兵)の一人であった著者によって、抑制されたトーンで描かれた秀作であ る。その中で、「病院に入れられることは、死を宣告されるのとおなじだった。」 という文に遭遇したときにははっとさせられた。医師である私の常識ではすぐに は理解できなかったからである。栄養失調やマラリア、デング熱などで兵士が瀕 死の状態になるとタンカで病院に運び込まれてきたというのである。言語を絶す る非日常の過酷さに涙せずにはいられなかった。敗戦色が濃厚となっていた昭和 18年当時、日本軍はさまざまな策を講じていたが、その中の一つに次のようなも のがあったことを知った。一万数千人に及ぶ将兵を日本からニューギニアに船で 輸送する際に、同じ目的地に向かう船団を二つ用意していたという。日本の出発 港も異なり、途中の寄港地も異なるが、目的地はどちらも西部ニューギニアのマ ノクアリ。「どっちかをマノクワリに着かせる寸法なんだ。片一方がボカ沈(= 爆撃を受けて沈没すること)を食うのは計算に入ってるんだよ。ダブル・キャス トってわけさ。」と事もなげに上官が答えるのを著者は聞かされた。これが大本 営の作戦であった。 集団的自衛権をめぐる最近の動きをみるにつけ、今から70年以上前の太平洋戦争 から私たちは何を教訓として学ぶべきなのか、智慧を求められていると感じる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】--- 便利になりました!〜学外からの電子ジャーナル利用〜 ………………………………………………………………………………………………  京都府立医科大学で契約している次の電子ジャーナルやデータベースに、学内  メールのアカウントでログインすることによりシボレス認証を利用して学外か ら簡単にアクセスできるようになりました。  使い方など詳細は、図書館HP 左側の「電子資料」>「学外から電子コンテ ンツを使う」>「シボレス認証」をご覧ください。 ◆2次資料データベース:医中誌Web、CINAHL、DynaMed、Scopus ◆電子ジャーナル:Cell、LWW-Ovid Online Journal、Nature、 データベース Ovid Nursing Full Text、 Elsevier ScienceDirect Journal、 ProQuest、Springer ◆電子ブック:LWW eBooks Collection、Elsevier ScienceDirect Book、         丸善eBook Library、ebrary Doody's Springer、 Thieme Clinical Collection ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】--- 松本仁介医学振興基金に、1冊追加しました! ………………………………………………………………………………………………  デジタルアーカイブページ松本仁介医学振興基金の古医書コレクションに 新たに1冊追加いたしました。  今回追加したのは、本学と関係の深い医師ヨンケルが著した日本文化論 『Midzuho-gusa』です。ぜひご覧ください。     ◆京都府立医科大学附属図書館デジタルアーカイブ   http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/library/denshi/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】--- 平成27年度第2回企画展示 <スポーツを支える医学>展を開催中です ……………………………………………………………………………………………… ◆期間:平成27年8月1日(土)〜8月29日(土) ◆場所:附属図書館1階 特設展示コーナー  テニスの錦織選手や女子サッカーのなでしこジャパンなど、注目されるアスリ ートの活躍。 社会の健康志向ともあいまって、実践者の裾野は広がり、2020年東京オリンピ ックにむけてますます高まる勢いをみせています。 今回は<スポーツを支える医学>をテーマに、スポーツ外傷の治療や予防から 身体能力の強化に関わる本などをご紹介。  夏休みの長期貸出を利用して、スポーツの視点から医科学の理解をじっくり深 めませんか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ……………………………………………………………………………………………… [Book Review]「あなたのプレゼン誰も聞いてませんよ!: シンプルに伝える 魔法のテクニック」(南江堂 2014 渡部欣忍著) TED でも注目されるプレゼン(の技術)。せっかく発表するからには 内容も熱意もそのまましっかり伝わってほしいものです。 医師・研究者向けの本書ですが、ハンディな体裁(A5判)かつ「です・ ます」調の文章でとっつきやすいので、誰でもさらりと目を通せます。 その目からウロコが何枚か落ちること請け合い。 この秋に発表を控えている方、まだ間に合いますよ。 (第2閲覧室 490.7/W) (I.K.)  トップページ:http://booklog.jp/users/kpumlib    この本のページ:http://booklog.jp/item/1/4524261273             ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ………………………………………………………………………………………………  図書館メールNews  第290号 2015. 8. 21発行(隔週金曜日発行)  編集・発行 : 京都府立医科大学附属図書館          library@koto.kpu-m.ac.jp          http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/      ………………………………………………………………………       (図書館メールNewsのバックナンバーはこちらから↓) http://www.kpu-m.ac.jp/k/library/sougouannai/mailnews.html ………………………………………………………………………………………………