【論文掲載】ヒト角膜上皮分化を規定している新分子を発見

ヒト角膜上皮分化を規定している新分子を発見
~OVOL2は角膜上皮における上皮性恒常維持に関与~
 
 北澤耕司助教(京都府立医科大学 特任講座 感覚器未来医療学)、升井伸治講師(京都大学CiRA)と木下茂教授(京都府立医科大学 特任講座 感覚器未来医療学)らのグループは、OVOL2が角膜上皮を機能的に維持していることを発見しました。
 我々人類は外界からの情報の80%を目から得ており、視覚機能の維持は必須の課題であります。視覚を維持するには光の取り込み口にある角膜が透明であることが必要不可欠であり、角膜が混濁すると視力低下をきたし失明にいたります。角膜の治療をはじめ、様々な疾患で再生医療の研究が進む中、特定の細胞を適切に誘導する技術が必要となってきています。しかし、角膜上皮細胞の分化がどのように規定されているかはまだわかっていません。
 升井講師らの研究グループはiPS干渉法(注1)を用いて、OVOL2を含む6つの転写因子セットが、ヒト角膜上皮の性質を決定しているキーとなる因子であることを見出しました。このセットをヒト皮膚線維芽細胞に導入することによって、2週間で角膜上皮特異的タンパク質を発現している細胞を誘導することに成功しました。角膜上皮細胞においてOVOL2をノックダウン(注2)させると、角膜上皮の重要な機能の1つである異物の侵入をブロックするバリア機能が大きく低下しました。また、その維持メカニズムとして、上皮間葉転換(注3)を介していることがわかりました。
 今回の研究成果により、難治性の角膜疾患に対して、iPS細胞からの分化誘導の高効率化につながることが強く期待されます。
 本研究成果は、2016年4月28日12:00 pm ESTに米国科学雑誌(Cell Reports)のオンライン電子版で公開されます。
 
【論文名】
 OVOL2 maintains the transcriptional program of human corneal epithelium by suppressing epithelial-to-mesenchymal transition
 
【掲載雑誌】
 Cell Reports[平成28年4月28日オンライン速報版掲載]
 
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