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理事長ごあいさつ
府民の期待と要請に応え、大きく発展するために
理事長 荒巻 禎一

この度、平成20年4月1日の「京都府公立大学法人」発足に伴い、京都府立医科大学と京都府立大学を所管する同法人の理事長に就任させていただきました。

 京都府公立大学法人は、平成16年4月に施行された「地方独立行政法人法」に基づき、両大学の設置及び管理をし、京都府民に開かれた大学として透明性の高い運営を行うとともに、両大学の教育研究の特性への配慮の下で、百年を超える伝統及び実績の継承や相互の連携を図りながら、京都府における知の拠点として、質の高い教育研究を実施することにより幅広い教養、高度の専門的な知識及び高い倫理観を備えた人材を育成し、並びに大学や地域の多様な主体と協力・連携した研究成果等の活用、附属病院における全人医療の提供等を通じて、京都府民の健康増進及び福祉の向上、京都文化の発信並びに科学・産業の振興に貢献し、もって地域社会はもとより、国内外の発展に寄与することを目的としているところです。

 私が、昭和61年4月からの4期・16年間、京都府知事として、またそれ以前の副知事等として、様々な形で両大学の整備や運営に関わってきたことを思い起こすと、数年の時を経て、またこのような立場で両大学と関わり、その大学がますます府民の期待と要請に応え、大きく発展してきていることに、大きな感慨と喜びを覚えるところです。

 両大学は、それぞれの経過と優れた実績のもと、全国有数の大学として現在に至っているわけでありますが、そのような歴史と伝統ある大学であっても、全国的には、近年の急激な少子化、それによる大学定員とのアンバランスが顕在化する中で、国公立、私立を問わず、多くの大学が定員割れや入学生の確保に苦悩する状況となってきており、平成16年度には国立大学がいち早く法人化し、自由度の高い経営や競争力、魅力のある大学として強いアピールを続けられ、公立大学にも同様の動きが拡がるなど、この間の両大学を取り巻く環境は大きく様変わりしてきているところです。
  このような状況下にあって、平成14年1月に「府立の大学あり方懇話会」が立ち上げられ、様々な議論を経て、両大学の意向も踏まえ、平成19年9月の京都府議会の定款議決を得て、この度の法人化がなされたところです。
  大学の法人化は、この間の多くの国・公立大学が進めてきた流れではありますが、国立大学法人各大学の状況を見るまでもなく、大学にとってメリットの一方で様々なデメリットも取りざたされてはいますが、京都府においては、山田知事自らが府議会等においても重ねて答弁されておりますように、単に経営の効率化、府からの経費の削減ということではなく、法人化することによって、京都府組織のままでは足かせとなっていた単年度会計主義や寄付の受入に係る制約等諸制度の弊害を廃し、大学経営の自由度を高め、大学が有する力を十二分に発揮できるようにすることにより、先人である国立大学法人や他の公立大学法人、とみに大学の魅力づくりのアピールに力を注いできておられる私立大学等と同じ土俵にたって競争をしていくためのものと考えており、その経営や運営に当たっては、より良い教育、研究、医療ひいては法人経営ができるよう、理事長として最大限の努力をしてまいる所存です。

 京都府においては、2つの大学をそれぞれに法人化するのではなく、1法人2大学といたしましたのは、各大学が歴史と伝統、個性を活かし、双方が切磋琢磨して大学運営に当たっていくことを基本としながら、その上で、大学法人がその経営の基本や魅力づくり、大学の進むべき方向について、大所、高所に立って判断し、相乗的な効果発揮や時には調和を図りながら、大学の発展に寄与していこうとするものと考えております。

 京都府公立大学法人及び京都府立医科大学、京都府立大学が、府民の皆様にとって大いに評価されるよう、その経営や運営に努めてまいりますので、皆様方のますますの御支援と御理解をよろしくお願いいたします。

理事長 荒巻 禎一
2009.1.15
キャンパス整備のコンセプト
 
  1. 大学法人運営の基本的な考え方について
    国家、地方公共団体も民間事業体も、一定の土地・資産と人、経営機能・能力をも
    って成り立っており、公立大学法人もこの例にもれないところであります。そして組
    織は、この三大要素の使い方次第で、存亡盛衰が決定するものであります。
    急激に進む少子・高齢化の時代にあって、大学志願者の絶対数の大幅な減少が避けられない現実が進んでおり、この厳しい条件の中で、それに勝ち抜くための生存競争に各学校法人、大学は全力で立ち向かっている状況にあり、我が公立大学法人、両大学においても、当然、そのまっただ中にあります。
    このような中にあっては、この三大要素の使い方のコンセプト、ベクトルを京都府、
    本法人及び両大学がしっかりと共有していかなければ、激しい競争を乗り切って、京
    都府民の貴重な税金を使って、府民、地域のため貢献していくという府立の大学とし
    ての使命を果たしていくことはできないと考えています。
    本法人が発足し、法人の大学としての出発年である本年、京都府から示された中期目標に沿って今後6年間の法人及び大学運営の根幹となる中期計画を定めたところですが、その中でも、これから取り組んでいかなければならない大きな課題の一つとしてキャンパス整備があります。
    キャンパスは、研究・教育上、学生生活上は勿論、法人の経営戦略上も極めて重要なものであり、今、遅まきながらも、最も基本的な概念を、関係者の中で、同じベク
    トルの共有認識として持ち、確認していくことが必要であります。そして、この共有
    認識の確認は、一法人二大学としての発足元年の今をおいてはないと思います。

  2. 法人、大学存立の大きな要素の一つ、「大学キャンパス」について
    キャンパスは、面積、形状、ロケーション、景観などにおいて最も適した有効な使
    い方の下で存在すべきものであります。
    両大学(キャンパス)は、それぞれの歴史の過程において、産みの苦しみと喜びを
    重ね、その時代、時代の社会、経済、政治情勢を背負って誕生し、そして或いは移転
    し、更には時代や研究・教育、周辺事情の変化に応じて進化してきているところです。


    改めて、各キャンパスについての極く基本的なコンセプトとベクトルを、以下の点
    で、法人及び大学教職員と共有しておきたいと思います。
    ① 下鴨キャンパスについて
    このキャンパスの特性は、極めて優れたロケーション、景観にあることです。東
    に比叡山を仰ぎ、北山に抱かれ、コンサートホールや情報センターとしての府立総
    合資料館があり、西には鴨川の水明、植物園の緑に恵まれています、また、歴史と
    文化の都・京都の美しい市街地の交通至便の地に位置し、全国の大学キャンパスの
    中でも最高のキャンパスの要素を満たしているところです。
    このキャンパスは、純市街地内型キャンパスとして、近代的瀟洒な校舎群や美し
    い花壇、緑の芝生の中で学生たちが学び、思索し、憩うキャンパスにしたいと思い
    ます。
    ここに、府立医大花園キャンパスの施設・機能が加わることにより、教養教育の
    共同化が実現し、学生、教職員の交流の中で総合大学的な広い教養教育、将来の異分野共同の研究・教育の芽が育まれることでしょう。そして、一法人二大学のメリ
    ットも活きてくるのではないかと思いますし、三大学連携等、他大学との連携の広
    がりも期待できるところです。
    このキャンパスのグランドデザインを描く中から、かねての課題である校舎の老
    朽化、狭隘化、間借り問題などの改善を図ることにより、全ての学部・研究科の学
    生、教職員がキャンパスライフについて満足するとともに、魅力ある素敵なキャン
    パスとして、将来の志願者の確保の原動力となると思います。
    (最近の若者は、近代的魅力ある校舎、キャンパスに惹かれて志望する傾向にある
    と言われている)
    ② 精華キャンパスについて
    このキャンパスのロケーションは、郊外型自然環境の中、広い用地、農地面積の
    確保が容易であることに加え、国家プロジェクト、また、京都府等の大プロジェク
    トとして整備されつつある関西文化学術研究都市のエリア内に位置していることで
    あります。
    もともと関西文化学術研究都市は、30数年前、当時発表され世界的に話題とな
    ったローマクラブのレポート、即ち「地球上の資源エネルギーは有限であり、人類
    が生き続け、繁栄するためには、資源、エネルギー対応への叡知の投入が不可欠で
    ある」との意見に応じて、元京大総長の奥田東先生達が、京大構内の農学部研究、
    実習用地を外に求めて構想されたのが始まりで、これが、地元府県や国の科学技術
    立国・環境立国政策などと重なって、産・学・官(公)協働の大プロジェクトとな
    ったものであります。
    ここに集積しつつある研究、技術、情報を活かすことにより、府立大学の農場や
    バイオ研究機能を中心とする生命環境科学の充実、発展に最適のキャンパスとなる
    潜在力を充分に有していると思います。
    (最近、京大の高槻農場が学研都市へ移転整備されるという報道があったところです)
    ③ 河原町キャンパスについて
    このキャンパスは、府立医科大学の研究、教育の中心であるとともに、附属病院
    は、高い医療水準、機能を有し、府立病院として、府・市民や地域医療の確保のた
    めの頼りにされ、この場所になくてはならないものとなっています。
    市街地内にあって、鴨川のほとり、大文字山、比叡山を間近に望み、景観も抜群
    でありますが、ただ、敷地面積がすでに、限度一杯まで建物に使用されているのが
    課題でありますものの、このキャンパスは府立医科大学の中心キャンパスとして現
    地で整備、充実すべきとの計画が確認されており、最近、外来診療棟の第一期工事
    が完成し、使用が開始され、整備基本計画に基づいた数次の改築、近代化が完成に
    近づいているところです。
    (但し、駐車場の確保などの課題があります。)

  3. 夢のある第一歩を踏み出すために
    現在の各キャンパスは、私達の先輩、関係者の、その時、その時の苦心と努力によ
    って、築き上げてこられた尊いものでありますが、時代は常に進み変化していくもの
    でもあります。越えなければならない課題に直面したとき、窮すれば通ずとの言葉を
    思い出しますが、この言葉の中に「変ず」という語が入って、「窮すれば変ず、変ずれ
    ば通ず」というのが本来の言葉と聞いています。
    今こそ、受け身思考から積極的で夢を持った思考へと変わって進まねばなりません。
    今、世界でもアメリカ大統領がチェンジをテーマにして当選し、我が国は勿論、世
    界のすべてのスキームがシフトしつつあるのを表していると思います。


    以上、キャンパスの基本的なコンセプトを中心に法人の理事長として私見と法人経
    営の存念を述べさせてもらいましたが、これらが、一刻も早く大学、本法人及び京都
    府など関係者の間で、基本的コンセプト、ベクトルとして共有でき、法人化元年を送
    り、新しい年に向かって夢のある第一歩を踏み出したいと切望しているところです。
    皆様の御理解、御協力、御指導を切にお願い申し上げます。
 
理事長 荒巻禎一
 
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